参考人として意見を述べる高校生(3月4日、宇治市議会市民環境常任委員会)

 立命館宇治高校(宇治市)の生徒4人が、「選択的夫婦別姓制度」の導入を求める意見書の提出を求めて、宇治市議会に提出した請願の審査が3月4日、付託された市民環境常任委員会(大河直幸委員長)で行われ、賛成多数で「採択すべきもの」とされました。

 日本共産党市議団、うじ未来、公明党市議団の4人が賛成し、自民党市議団と日本維新・京都宇治党の2人が反対。3月25日の本会議で各党の討論の後、採択され、議員提案の意見書が可決される見込みです。

 委員会審査では、高校生を代表して向川巴菜さんが参考人、松井そらさんが補助者として出席。意見陳述を行い、議員の質疑に応じました。

 請願提出に至った思いについて向川さんは、同制度を学校の授業で知り、同姓強制を不便に感じている人の声を実際に聞いてきた経過にふれ、「アイデアを出すだけではなく、自分たちが動くべき」と考えたことを紹介。「困っている人たちを助けたい」との思いが原動力であり目標だと話し、「制度の導入で、幸せな人が増えるよう議員さんたちの総意として意見書を提出してほしい」と述べました。

 同制度の導入に反対する自民党の議員は、家族が共通の名称(姓)を失い「家族のきずな、一体感の希薄化につながる」と主張しました。

「反対」自民議員の質問にも「姓違っても家族の関係崩れない。海外では当たり前」

 向川さんは、家族で姓が異なる場合の懸念について、親子で姓が違う友達の例をあげ、「本人も私たちも何も問題は感じない」、「姓が違っても家族の関係は崩れない。海外では当たり前の国もあり、日本で制度が導入されても大きな問題はないと思う」と応じました。

 同党議員は結局、旧姓の通称使用の拡大で対応できるとし、「議会の意思を決めるのは時期尚早。国の議論を見守るべき」と述べ、採択に反対。日本維新・京都宇治党は、質疑は行わず反対しました。

 日本共産党の坂本優子議員は、自身の体験を通して、旧姓の通称使用による不利益について述べるとともに、「選択的夫婦別姓」への法改正は、繰り返し国連の女性差別撤廃委員会から是正勧告を受けており、日本のジェンダー平等の課題だと指摘。請願主旨にある「私たちが今後、成人して同姓か別姓か選択する時には自由に選択できるようになっていてほしい」との願いに賛同すると発言しました。

行動通じ感じた「社会変わって」

 宇治市議会では、高校生による提出も同趣旨の請願も初めてのことで、同日の委員会審査を報道各社も注目しました。生徒たちは、審査終了後の取材に応じ、「4対2で採択されてうれしい。活動してきて良かった」と表情を緩ませました。

 今回の行動を経験して、「意見を言うことで社会が変わってほしいと思った。この先も生きていく社会を自分たちが住みやすい場所にしたい」と語りました。

 請願提出の報道後には、「家族や学校の友達以外にも応援する声があり、頑張ろうと思いました」と周りの後押しが支えになったと話していました。

請願審査の終了後、報道陣の取材に応じる高校生ら