中村和雄さんが8日発表した、「京都市政刷新のための私の決意と呼びかけ」の全文を紹介します。
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(私の決意)
 私は、これまで弁護士として水俣病の被害者救済、非正規労働者や社会的弱者の権利実現など、行政や労働の分野を中心に22年間とりくんできました。そして市民の立場から市政をチェックするために10年前に設立された「市民ウォッチャー・京都」の幹事として、京都市などの行政の情報公開と行政監視にもとりくんできました。
 こうしたとりくみを通じ、京都市の医療や福祉が大きく後退し、市民生活が限界に達し、多くの方が悲鳴を上げている状況にあることを身をもって痛感させられてきました。そして、今の京都市政が、弱肉強食を推し進める国政から住民のいのちと暮らしを守る防波堤としての役割をまったく果たさず、大切な市民の税金を無駄遣いしていることに強い憤りを感じてきました。
 京都市職員の犯罪・不祥事が、市民が呆れるほど続出していることは、今日の京都市政の問題点を象徴的に表しています。にもかかわらず、京都市長は、これらを発生させてきた原因と自らの責任を明確にすることなく、曖昧なうわべだけの「改革」で収束をはかろうとしています。
 私は、「市民ウォッチャー・京都」内につくられた「市民の立場で京都市職員不祥事問題を徹底究明する調査プロジェクト」の主任として、この4ヶ月間、京都市の現状を憂いている職員の皆さんや業者の皆さん、市民の方々から多くの情報をいただき調査してきました。
 京都市の各職場に直接訪問して調査もしました。職員の皆さんとも意見交換をさせていただきました。こうした活動の中で、京都市の職員管理の不正常さはきわめて深刻な事態にあることを実感しました。同時に、現状を憂い改革を真剣に考えている多数の職員がおられることも知り、頼もしく思いました。
 京都市役所の抜本改革のためには、何よりも市政における同和利権を完全撤廃することと京都市役所に蔓延している不正常な職員管理体質を全面的に払拭することが必要です。それは、そのたたかいの先頭に立って、京都市政の刷新を願う多くの市民、職員の方々と手を携えて突き進む市長によってこそ可能な仕事だと思います。
 これまで長年にわたって同和利権を温存させ、現在もまだ同和奨学金の継続をはじめとして同和利権を根絶できない市長の下では、京都市役所の改革はできません。京都市役所の抜本改革を実現するためには市長の交代が不可欠です。
 今がチャンスです。この時期を逃せば、京都市役所を改革することはもはやできなくなってしまうことをおそれています。
 私は、本日、次期京都市長になるためのとりくみの開始を表明するものです。京都市の現状を憂いておられる多くの市民の皆さんに、京都市役所と京都市政刷新のとりくみを共にすすめていただくことを心から呼びかけます。
 (私がめざす京都市政)
 私は公正・公平で透明な市政運営を確立します。行政への市民参加を積極的に推進します。市民の皆さんが、憲法で保障された人権を充分に享受できるように政策転換します。そして、強者が弱者を支え、ともに手を携えて発展していく京都市政をめざします。
 新たに成立した京都市の景観条例が本年9月に施行されます。歴史と伝統に裏打ちされた新しい都市・京都が「京都らしさ」の顔を持ってその独自の姿を形成していく出発点です。今回の景観条例で京都市内は建築物の高さ規制が確立しました。東京や大阪をはじめ全国各地で高層建築物が建設され、最近では超高層マンションが乱立しています。一部の高所得者層が高層階に居住し、眼下の景観を愉しむという構図はまさに格差社会の表象です。強者が弱者を見下ろしてますます強くなる、そんな街は嫌です。強い者は弱い者を助け、一緒に手を携えて成長していく、それがこれからの京都のあり方だと思います。京都市の予算もそのために使われなければなりません。
 公正・公平(Fair)な市政をめざします
 市職員の採用を同和団体に丸投げしたり(同和選考採用)、一部の者だけに不公正な特別の利益を供与してきたアンフェアーな市政を転換します。京都市教育委員会は政府主催のタウンミーティングの参加者について、気に入らない者を恣意的に抽選から排除しました。こうした不正・不公平な市政は許しません。
 市政の公開・透明(Open)を徹底し、市政への市民参加を拡大します
 第3セクターなど外郭団体の財務状況も公開します。審議会委員の選任過程を透明にして恣意的選任を排除するとともに、審議会を公開します。 行政政策の形成過程を透明化し、市民が行政施策の形成過程に積極的に参加できるようにします。
 市政運営のチェック機能を充実させるため、監査制度の機能強化のための体制の確立をはかります。
 公益通報者保護法に基づき、市役所外部に第三者委員による窓口を新たに設けることにより、市民および職員による市政の監視体制を充実させます。
 人間らしく生きる権利(Right)を確立します
 国の弱肉強食政策の下で広がっている貧困と格差を解消するための施策を実行します。若者が京都でやりがいを持って安心して働き続ける施策を実行します。たとえば、公共工事の現場労働者の労務単価を入札条件とし監視すること、下請けいじめのゼネコンの告発、若者の就労支援体制の整備、雇用形態や雇用条件を京都市発注先選定の要素とすること等、具体化を推進します。
 新たな京都の出発である景観条例の具体化を図ります。地域ごとの街づくり懇談会の設置、地域ネットワークの構築を実現します。生活困窮者に対する援助策としては、就労援助対策を充実させます。障害者や高齢者が安心して暮らせるための街づくりや支援体制を推進します。
 世界の宝である憲法9条の改悪に反対します。子ども達が平和の大切さを実感できるようにイラクやアフガンの子ども達と京都市立の小中学生との交流など、平和教育の推進に力を注ぎます。どの子も健やかにのびる教育をすすめます。
 女性の社会進出を積極的に推進します。男性も女性も、家事も育児も介護も、ともに共同して遂行できる社会を実現するための環境整備に努力します。
 (京都市政を憂い京都市政の刷新を願うすべての皆さんに共同を呼びかけます)
 京都市政の現状を憂い京都市政の刷新を願うすべての皆さまとご一緒に、私たちの新しい京都を創り上げていきたいと考えます。
 私は、本日、「中村和雄とともに京都市政を刷新するプロジェクト」を立ち上げ、これから京都の各界各層の皆さんに懇談の機会をいただき、ご意見を伺う予定です。それらのご意見をふまえて、京都市政刷新のための具体的施策に磨きを掛けていきたいと思います。皆さまのご支援をお願いするとともに、プロジェクトへのご参加を呼びかけるものです。