天ケ瀬つり橋で記念撮影する参加者

 同志社大学留学中の1943年、独立運動容疑で逮捕・起訴、治安維持法違反で投獄され、45年に獄死した詩人・尹東柱が、逮捕される前に学友とともにハイキングした宇治川の道をたどる企画が21日、行われました。約20人の参加者の半数が若者で、「多くを学び、友人にも伝えたい」「楽しく充実した企画」などの感想が語られました。主催は、詩人尹東柱記念碑建立委員会。

 戦前、治安維持法に反対し右翼の凶刃に倒れた労農党代議士・山本宣治の実家「花やしき」、改装されたばかりの山宣資料館を、宇治山宣会の小松正明事務局長の案内で訪問。

 資料館では、遺品の中にあった在京都朝鮮留学生学友会発行(1926年)の『学潮』には尹東柱の朝鮮語の恩師・崔鉉培の文、尹東柱が憧れた詩人・鄭芝溶の詩、山本宣治とのちに同志社大学総長となる住谷悦治の寄稿文が掲載されており、山宣と尹東柱のつながりを紹介しました。

 また、建立委員会の安斎育郎委員長、紺谷延子事務局長の案内で、尹東柱が学友と写真を撮影した天ケ瀬つり橋や、「詩人尹東柱 記憶と和解の碑」を訪れました。

 つり橋では、尹東柱の詩「新しい道」を参加者で朗読し、記念撮影しました。

 碑前では、作家で元NHKディレクターの多胡吉郎さんが、つり橋での尹東柱らの記念写真を番組取材の中で発掘した経緯などつづった文章を、委員会事務局員の若者が読み上げたほか、安斎委員長による手品やウクライナ問題でのミニ講話、日本キリスト教団宇治教会の早瀬和人牧師のウクレレ伴奏による「アリラン」の演奏なども行われました。

 京都芸術大学の韓国留学生は、友人と和解の碑を訪れた際に、紺谷さんと出会い、企画に参加。「尹東柱は韓国では有名ですが、日本のみなさんが私たち以上に彼のことを知っていることに驚きました。戦争反対を訴えた山本宣治さんのことも初めて知りました。今日、学んだことを友人に伝えたい」と語ります。