ロシアの侵略が続くウクライナの人々に思いをはせ、京都市中京区の「Design Studio nano」(木屋町二条下る、中山義也代表)が、平和の願いを込めたデザイングッズの製作・普及で、ウクライナの支援活動に取り組んでいます。

 「何かせずにはいられない」とグラフックデザイナー・イラストレーターの小野寺朝(44)さんが、職業を生かして発案したもの。ウクライナ国旗の青と黄のカラーで描いたハートのイラストにPEACE&LOVEと“スラバ ウクライーニ“(=ウクライナに栄光あれ)の言葉を添えた缶バッジ(直径75㍉)に続き、現在、ストラップ付の手作り商品を販売中です。

 缶バッジは、1個500円で販売し、400円分をユニセフ(国連児童基金)のウクライナ緊急募金に送金します。SNSを通して広がり、5月中旬には52万6000円(約1300個分)を送金しました。

 クラフトは、廃材となる木屋町通の桜の枝を利用し、スライスした枝の断面(直径40㍉前後)に絵の具や電熱ペンで描いた手作り作品。こちらは、売り上げの半額をアニマルドネーションを通じてウクライナの動物支援に寄付します。

 小野寺さんは、ロシアの侵略戦争の報道に、第2次世界大戦で南方の島から帰還した元日本兵の祖父から聞いた「第3次世界大戦を起こしてはいけない」という言葉を鮮明に思い出すと言います。

 「京都市とキーウが姉妹都市であることも知り、何かしなければと考えて、絵で今の思いを届けよう」と思い、3月初旬にオリジナルイラストを描いたのが始まりです。ウクライナ国花のヒマワリと「故郷・家族への愛」を象徴するツバメをモチーフにデザインし、「もうこれ以上悲しい戦いはやめて」の言葉を添えた作品。事務所ビルの玄関に張り出し、SNSでもシェア・拡散を呼びかけました。

 一方で、ウクライナの話題に、“政治的なこと”と敬遠する対応も経験し、「世界平和は多くの人の願いのはず。あかんことはあかんと言わないといけない」と意を強くします。 中山代表(58)は、「缶バッジへの反響の大きさに、『何か力になりたい』という多くの人の思いを感じました。本業にコロナ禍の打撃が続く中ですが、声をあげることが大事。今わたしたちに出来ることを考え表現することで平和への思いが広がれば」と話しています。