「憲法9条京都の会」は6月22日、参院選公示にあたって、「日本は、憲法9条を守り『平和国家』をめざしつづけるべき」としたアピールを発表しました。

 アピールでは、ロシアによるウクライナ侵略を受けて、一部政治家が軍拡論、改憲論を主張するもとで、中国に対する軍事的対応を念頭に、岸田首相がバイデン米大統領との会談で「日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当なる増額を確保する決意」を表明したことについて、「『軍事力には軍事力で』という発想で、対話や外交の視点が欠如している」と指摘。軍事力増強には際限がなく、福祉や医療、教育など市民生活を圧迫するのみならず、戦争を準備する権力者は政権批判者を敵視・弾圧するため、「もの言えぬ社会」が到来すると懸念を表明し、「平和憲法を持つ日本は戦争をさせない役割を担うべき。軍事力拡大、9条改憲に走ってはなりません」と訴えています。

以下、アピールの全文です

日本は、 憲法9条を守り「平和国家」をめざしつづけるべきだと訴え ます
~2022年7月10日、参議院選挙の公示にあたって~


 ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略を受けて、国内では一部政治家が「危機」を喧伝し、「憲法 9 条で国を守れるのか」「 敵基地攻撃能力を保有すべき」といった軍拡論や改憲論がここぞとばかりに声高に主張されています。

 4 月26 日に自民党が発表した「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」 (以下「提言」では、「対 GDP 比目標( 2 %以上)も念頭に、防衛関係費全体の大幅な増額」「相手国のミサイル基地だけでなく指揮統制機能等も対象とする反撃能力の保有」を掲げています。また「提言」は、軍事産業への利益誘導策や「経済的徴兵制」ともいえる自衛隊員の確保策も述べています。

 5 月23 日の岸田首相とバイデン大統領の日米首脳共同声明は、バイデン大統領の主張する「『専制主義』対『民主主義』」の対立を前提に、世界に分断をもたらし、中国を軍事的に封じ込めようとの動きが見て取れます。 この日米首脳会談で岸田首相は、「ミサイルの脅威に対抗する能力を含め、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する決意」、「日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当なる増額を確保する決意」を表明しました。「軍事力には軍事力で」という発想で、対話や外交という視点が欠如しています。この発想に立つと、つねに相手国を上回る軍事力を求めるため、その増強には際限がありません。その結果、福祉や医療、教育といった市民生活を圧迫することは必至です。また、戦争を準備する権力者は自国民の人権にも冷酷となり、政権批判者を敵視・弾圧し、「もの言えぬ」社会が到来するでしょう。 そしてもし、台湾をめぐって米中間で軍事衝突が起これば、沖縄・南西諸島をはじめ日本が戦場となるのです。

 私たちは、このような覚悟をしてアメリカとの軍事的一体化と軍事力の増強を進めるのでしょうか。別の道を歩むべきです。平和憲法をもち、戦後、戦争でだれ一人殺すことも殺 されることもなかった日本こそ、戦争をさせない役割を担うべきです。緊張を高める軍事力の拡大や 9 条改憲に走ってはなりません。

 日本国憲法施行75 年のいま、私たちの平和への意識が問われています。 本日参議院選挙が公示され、 7 月10 日には参議院選挙が行われます。私たちは、この国がいま「軍事国家」か「平和国家」かの岐路に立っていることを自覚し、 参議院選挙を契機に 平和や憲法について国民間で熟議がなされ 、 投票率が上がることを希望します。そしてそのなかで私たちは、 憲法9条を守り、生かして 「平和国家」をめざしつづけるべきだと訴えます。

2022年 6 月22 日憲法9 条京都の会