福知山市■具体的計画ない、誤解与える

伊根町■齟齬ないよう強く申し入れた

精華町長■広域化の考えない、反対

 京都府が、市町村の運営している水道事業について、浄水場の統廃合などの施設統合案や、広域化による事業統合案を示していることに対して、府内の自治体から「浄水場の統廃合案は、誤解を招く」「事業統合・広域化は考えていない」など異論が相次いで出されています。日本共産党の各議員が9月議会で質問したもので、府の急速な議論を中止し、市町村の水道事業を支援するよう求めました。

 府は8月、検討中の「京都水道グランドデザイン」の「素案」を発表。そこでは府北・中部の6市1町にある15の浄水場を廃止し、統合する案などを明記しています。

 市内の3浄水場の統廃合計画が示された、福知山市議会9月定例会の一般質問(9月12日)で、日本共産党の塩見卯太郎議員が「市内の浄水場の統廃合計画が示されている。市として検討や意見を出したのか」と質問。市上下水道部長は、府の「素案」に示された統廃合案は府が独自で試算したものだとし、「市として具体的な統廃合の計画はない。市民に誤解を与える表現をしないよう求めている」と述べました。

 塩見議員は、国や府が広域化や施設統合を急速に進めていることを批判し、「水道は市町村が運営し、それを国や府が支援する仕組みに転換すべきだ」と述べました。

 また、同様に浄水場の統廃合案が示された、伊根町議会9月定例会の一般質問(9月22日)で、同党の大谷功町議が質問。町側は、府がシュミレーションした一例であり、「事業の実施が予定されているものではない」としながらも、「例示とは言うものの、具体の名称などが記述されており、誤解を招く恐れもある」とし、府の意見聴取会議で「齟齬がないよう府民、住民に十分伝えるよう強く申し入れた」と述べています。

 府南部では、府営水を供給する10市町での「新・京都府営水道ビジョン」の検討が進められ、事業統合など経営の一体化策として「企業団化」が打ち出されています。

 精華町議会9月定例会(9月6日)の一般質問で、同党の佐々木雅彦町議が南部自治体での水道の事業統合の問題について質問。上下水道部長は、「自己水源を活用し、水道水の安定供給が行えている現時点において、事業統合といった広域化の考えはございません」と答弁しました。

 さらに答弁に立った杉浦正省町長は、「30、40年先の人口減少でどうなるかということはあるが、今現在に立っては、私はこれは反対であります」と述べました。佐々木議員は、広域化などの事業統合ではなく、自己水を守る町の立場を堅持していくよう求めました。

■京都水道グランドデザイン■

北・中部7市町15浄水場廃止明記、南部は「企業団化」打ち出す

 「京都水道グランドデザイン〈京都府水道ビジョン〉」とは、将来にわたり安心・安全な水を供給するため、府内全域の水道事業の方向性を示すもの。10年ごとに改定されますが、水道事業の広域化や民営化を進める改定水道法(19年10月施行)の下、都道府県に「水道広域化推進プラン」の策定を要求しており、府は同プランを盛り込んだ改定を来年3月までに策定予定です。

 府は8月24日に開いた「水道事業等広域連携等推進協議会」の第2回幹事会で同「素案」を発表。北部(京丹後、宮津、舞鶴、福知山、綾部の各市と与謝野、伊根の両町)、中部(亀岡、南丹の両市と京丹波町)、南部(京都市以南の8市7町1村)の各圏域で、広域化や経営統合、施設統合などを試算。北・中部の6市1町にある15の浄水場を廃止し、統合する案などを明記し、「公民連携の推進」なども掲げています。

 同時に、府営水を供給する府南部の10市町(宇治、城陽、八幡、京田辺、木津川、向日、長岡京の各市と久御山、精華、大山崎の各町)での「新・京都府営水道ビジョン」の検討が進められており、5月の検討会では、経営の一体化策として「企業団化」が打ち出されています。