北陸新幹線延伸計画「調査費」計上は脱法的行為 衆院予算委・穀田氏/地下トンネルが断層を横断“「安全な代替ルート」足りうるのか”
日本共産党の穀田恵二衆院議員は2月21日、衆院予算委員会分科会で北陸新幹線延伸計画に関わる調査費計上や、長大な地下トンネル建設問題などを取り上げ、延伸計画の中止を求めました。
環境影響評価(アセスメント)や事業認可も完了していない段階で政府は、「北陸新幹線事業推進調査費」約12億円を2023年度予算案に計上しています。
穀田氏は、ルートさえ決まっていない段階で、「調査費」を計上することは、「これほど住民をばかにした話はない」との怒りの声を紹介し、「整備新幹線建設の歴史上前例のない異常なこと」「環境アセス制度の根幹を崩す、極めて悪質で事実上の脱法的行為」と厳しく批判しました。
また、穀田氏は、現行の延伸計画のルートについて、「関西各府県の知事や市長らで構成する関西広域連合の当初案を否定し、与党プロジェクトチームが決めただけの案に過ぎない」と指摘。自民党の石川県連最高顧問が「物価高騰などで、建設費は4兆円以上になる」と発言していることも紹介し、「費用便益比が1さえも割り込むような場合、計画を見直すことは当然」と求めました。
地下トンネルによって京都盆地の地下水が枯渇する可能性について、東海道本線の丹那トンネル(静岡県、1934年開通)の実例を紹介。「丹那トンネルでは、水抜き坑は、トンネルの長さの2倍に及び、排水量は6億立方㍍と芦ノ湖の水量の約3倍」「まずワサビ栽培がだめになり、灌漑用水が確保できず飢饉となり、田畑が干上がった。京都盆地の地下水でも同じ現象が起こらないと言い切れるのか」と迫りました。
また、「京都の無数の断層を横切る、あるいは並走する地下トンネルの新幹線が、本当に『安全な代替ルート』足りうるのか」と指摘。大量に発生する掘削発生土の処理方法や周辺環境への影響、ヒ素等による環境汚染についてもただしました。
鉄道・運輸機構の寺田吉道副理事長は、「専門家の知見も得ながら」「今後の調査」「今後の検討」などと答弁。
住民不安に「ゼロ回答」
穀田議員は、「今後の予定の話ばかりされるが、今ある住民の不安、本当に安全なのかとの疑問にまったく答えていない」と指摘。「採算性も、安全性も、環境への影響も府民の疑問に何ひとつ答えられず、まともな検討さえ行っていない」と批判し、延伸計画そのものの中止を強く求めました。