京都と沖縄、交流の足跡 「檀王法林寺と沖縄」展 下京区・京都産業大ギャラリー 4月8日まで
昨年、沖縄の本土復帰50年を迎えたことを記念し、京都市下京区の京都産業大学ギャラリーでは、江戸期に琉球に滞在して浄土宗を広め、京都で檀王法林寺(京都市左京区)を開いた袋中(たいちゅう)上人の事跡をたどり、京都と沖縄の文化交流について考える企画展「檀王法林寺と沖縄」を開催中です。
京都産業大学世界問題研究所の所長をながらく務めた若泉敬教授が、本土復帰にあたって佐藤栄作首相の密使として返還交渉にあたったことから沖縄返還50周年を記念して今回の企画が取り組まれました。主催は同ギャラリーと檀王法林寺。
袋中上人は、学僧として中国・明に渡ることを計画しますが、豊臣秀吉の朝鮮出兵の影響から実現できず、慶長8(1603)年から3年間、琉球に滞在し浄土宗を布教し、尚寧王との親交を深めました。帰国後の慶長16(1611)年、檀王法林寺を開きました。
薩摩藩の侵攻により、琉球が薩摩の付庸(ふよう)国(従属国)となった際、尚寧王は徳川家康や秀忠と謁見しますが、京にも立ち寄り、袋中上人とも面会。多くの宝物を贈呈しました。
展示では、袋中上人が琉球に渡った際の船の標識「袋中上人琉球渡海船印〔見崎重右衛門〕」のほか、袋中上人が尚寧王から贈られた僧侶の椅子「黒漆塗文字入螺鈿曲彔」(京都府指定文化財)や四脚の卓「垣末螺鈿卓」(同)、掛け軸の体裁をとった螺鈿細工の掛板「司馬温公家訓螺鈿掛板」(同)、尚寧王が袋中上人の肖像画を描き、賛文も手がけた「袋中上人像」(同)など、約20点を展示。
若泉敬氏を紹介するミニコーナーも設けています。
4月8日(土)まで。ギャラリーは、京都市下京区中堂寺命婦町1-10。午前9時から午後4時半(ただし、水曜午後1時から)。日曜・祝日休館。無料。入館者には企画展の図録を無料でプレゼント。
【関連イベント】講演会②「沖縄芸能の魅力」 25日(土)午後1時(午後0時半、開場)。講師=信ケ原雅文(檀王法林寺住職)、和田信一(琉球古典音楽演奏家)、鈴木雅恵(京都産業大学外国語学部教授)。定員150人(事前申し込み制、先着順。
申し込み=
https://www.kyoto-su.ac.jp/events/20230327_869_koen.html(リンク先の申し込みフォームより)。問い合わせ☎075・277・0254(同ギャラリー)。