宇治市・ウトロ平和祈念館 開館1周年「交流の場、役割大きい」 来場者延べ1万3000人
第2次世界大戦中、軍事飛行場建設に従事した朝鮮半島出身の労働者らによって形成された地域に建設されたウトロ平和祈念館(宇治市)。同館開館1周年を記念した式典が4月30日行われ、約250人が参加。1年間の取り組みの成果や、同館の役割を確認しました。
同地区の土地転売反対の取り組みの中で生まれたウトロ農楽隊の演奏で開会。金秀煥(キム・スファン)副館長も民族楽器の演奏で花を添えました。
田川明子館長は、「1年で延べ1万3000人の来館者があり、ボランティア登録が130人というのは奇跡。ここは南も北もなく、朝鮮人も日本人もなく、運動経験の長短もなくウトロを守ろう、共にありたいと考えてくださった方の集大成」と感謝の言葉を述べました。
郭辰雄(カク・チヌン)ウトロ民間基金財団理事長は、立命館宇治高校の生徒が同館アピールに向けて自主的に交流企画を行ったほか、城陽高校美術部の部員が同地区のかつての町並みのジオラマを専門家の協力を得て作成するなど、若者の中で同館の取り組みへの支援が広がっていることなどを報告。「在日の若者が歴史を学び希望を感じるなど、お互いが理解を深め、出会い、交流できる平和祈念館の役割は非常に大きい」とのべました。
駐大阪大韓民国総領事館の金亨駿(キム・ヒョジュン)総領事は1万3000人が訪れたことに対し、「人権、平和といった普遍的価値を守ろうとした多くの人々が成し遂げた成果。交流と和合の場としての役割を発揮してほしい」とあいさつしました。
また、市民からの寄付や助成金によって屋上に設置した太陽光発電施設「ウトロ平和祈念館おひさま発電所」の点灯式も行われました。
同館では、2階の常設展で城陽高校美術部の部員作成のジオラマが展示され、3階ではウトロ農楽隊の歴史などをあつかった企画展「女たちの農楽」が行われています。
ウトロ平和祈念館おひさま発電所の寄付金は5月末まで募集中。1口3000円。
ウトロ平和祈念館開館1周年記念ウトロ文化祭 5月14日午後1時、同館前広場。参加協力金500円。出演=ウトロ農楽隊、オカリナ演奏「ルアナ・ウトロ」、シンガーソングライター川口真由美さん、コーラスサークル「チャムチョッタ」など。いずれも問い合わせ☎0774・26・9222(同館、火~木曜休館)。