丸ごとの自分を尊重できる日本社会に 亀岡市で登校拒否・不登校問題全国のつどい
「語りあおう 学びあおう 子どもたちをまん中に」を合言葉に、「第25回登校拒否・不登校問題全国のつどい」が7、8の両日、亀岡市内で開催され、のべ800人が参加しました。
主催は同実行委員会と「登校拒否・不登校問題全国連絡会」。コロナ禍を経て4年ぶりの開催で、北海道から沖縄まで全国各地から、保護者や当事者、教育関係者らが集い、記念講演や基礎講座、テーマ別の12の分科会で学び、交流しました。
初日は、約500人の参加者を前に、立命館大学の高垣忠一郎名誉教授(心理臨床家)が「子ども・若者の生きづらさと自己肯定感」と題して講演しました。高垣氏は、自身が提唱してきた「自己肯定感」について、「ほめて育てればいい」というものでも、部分的な特性を評価されて得るものでもなく、「『自分が自分であって大丈夫』という丸ごとの自分の存在、『在るがまま』が肯定されること」だと強調しました。
しかし、競争社会の教育や子育てが、成績で評価し、期待に応えることを子どもに押し付けており、自己否定の感情や自身のしんどさを受け止めてくれる人のいない孤独感を生んでいると指摘。「育てたい本物の自己肯定感は、『人生の主人公』として自立していくことを可能とするもの」だと述べ、一人ひとりを「個人」として尊重し、子どもの苦しみや痛みに寄り添い、耳を傾けることが大事だと話しました。
講演の後半、同実行委員長の春日井敏之・立命館大学大学院教授との対談のなかで高垣氏は、競争的な社会システムのなかで人を表面的に評価する価値観が、不登校だけではなく、いじめやジャニーズの性加害問題を生む背景にあるとし、「こんな社会は変えないといけない。(来る2024年を)日本が憲法13条にある個人を尊重する社会となる幕開けの年にしたい」と述べました。