府内自治体で最も温室効果ガス排出量の多い京都市。京都市長選(2月4日)では、各候補が気候危機打開や温暖化防止に向けた公約を打ち出していますが、温室効果ガス削減目標の引き上げを掲げているのは福山和人候補(「つなぐ京都2024」、無所属・新人)だけです。

 各候補の公約を見ると、気候危機・温暖化防止に関する政策は、福山候補15項目、松井候補6項目、村山候補4項目、二之湯候補0項目でした(下記に一覧)。

 パリ協定の「1.5度目標」(世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする)の達成には、温室効果ガス排出量を2030年までに50%削減し、50年までに0とする必要があります。一方、京都市の削減目標はこれを下回る「30年46%削減、50年0」です。

 福山候補はこの削減目標について、「30年55%削減、50年0」と引き上げを明記し、国際社会が求める1.5度目標達成に責任を持つ立場を示しています。

 また、再生可能エネルギー普及や住宅・ビルのゼロエネルギー化について、松井、村山両候補は「促進」や「推進」と表記。福山候補は、京都市の地球温暖化対策条例を改定し、新築・増築の建築物でゼロエネルギー化を標準化すると明記し、最も実効性の高い政策となっています。

 さらに、福山候補は、▽地元業者による対抗パネル設置や断熱工事への助成制度▽気候市民会議の創設▽電気の地産地消(新電力や市民発電)の推進—重点政策に位置づけるなど、気候危機打開へ向けて積極的な姿勢を示しています。

産業界にもの言える市長でないと

 京都市内で気候危機打開を訴えるパレード(22年11月)の呼びかけ人も務めた会社員の田中暁さん(25)は、「福山さん以外は、削減目標引き上げも掲げておらず、気候危機に『取り組む』と言っているだけのように感じる。何より、この問題で政策を実行していくには、産業界、特に大手電力会社にものを言える市長でないといけないと思う。その点で、パーティー券を買ってもらうなど企業献金を受け取っている候補者や、受け取っている政党に支えられている候補者には、難しいのではないか」と語ります。

 

■福山和人候補

・地球温暖化対策条例を抜本的に強化し、CO2排出量を

30年までに55%削減、50年までに0を実現する

・気候市民会議を立ち上げる

・再エネ導入を安全性や住環境に配慮しつつ飛躍的に拡

大し、100%をめざす

・地域新電力や市民共同発電所などを積極的に推進して

電力の地産地消により電気料金1300億円の市外流

出をふせいで地域に循環させる

・太陽光発電ゼロ円システム(初期投資ゼロで設置)な

 ど各種手法を強力に推進

・公共施設のゼロエネルギー化を率先して進める。民

間建築物については、温暖化対策条例を改定し、ゼ

ロエネルギー住宅・ビルの標準化を進める

・地元業者による再エネ活用の住宅建設や断熱工事に対

 し助成をおこなう

・公共施設、公共交通において、率先して脱石炭、脱原

発、再エネの購入を進める

・EV車や水素自動車、その関連施設の普及を進める

・ごみ発生抑制のため、混合収集を見直して分別リサイ

クルの徹底をはかる

・産業界とプロジェクトチームをつくり、製品からの脱

プラスティックを促進

・公共施設における自販機導入に際し、マイカップ・ボ

トル対応の機械を推進

・営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の初期費

用の支援

・森林環境を保全し、林業の持続的経営をはかる。これ

を市全体の計画の中に位置づけ、施策を積極的にすす

める

・京都産木材の活用、木質ペレットの活用

■松井孝治候補

・文化遺産や商店街などへの再エネ設備導入、建物のゼロ

エネルギー化、タクシーのEV転換など

・フードロス対策の促進や資源物回収の拡大などによるご

みの減量と資源物回収の拡大

・生物多様性の保全地域を拡大し、多様性の保全・回復と

生物資源の持続可能な利用を図る

・環境に優しい肥料の使用など「グリーン農業」への転換

を支援

・森林の多面的機能を最大限に生かすため、保全モデル活

動やグリーンツーリズムを推進

・木質バイオマスの活用を進める

■村山祥栄候補

・グリーンで電力の供給支援や普及促進

・新設の公共施設のゼロエネルギー化実施

・既存の公共施設のゼロエネルギー化検討

・民間住宅、商業施設のゼロエネルギー化推進

■二之湯真士候補

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