共産党は住民運動と共同・連携して一貫して中止訴え

 27日投票の衆院選では、京都府内を縦断する北陸新幹線延伸計画(敦賀─新大阪間)が京都の重大争点です。長大な地下トンネルが市街地を通ることによる地下水の枯渇や、大量の残土の処分方法が不明であること、山岳トンネルによる環境破壊、莫大な建設費などに市民の不安・懸念が広がっています。延伸計画そのものを中止し、地域公共交通の整備・充実を訴える日本共産党の政策に共感が広がっています。

 「自宅が新幹線のルート上にあり、立ち退きさせられるかもしれん」「自民党が推進しているとんでもない計画。共産党に頑張ってもらうしかない」─新幹線の車両基地や明かり区間(地上)のルート上にあげられた久御山町での学習・懇談会(9月21日、日本共産党町議団主催)。24人が参加し、突然浮上した車両基地や線路建設計画に対し、不安とともに、日本共産党への期待の声が上がりました。

 国土交通省と鉄道建設・運輸施設整備支援機構は8月、京都駅をJR京都駅直下・近辺に設置する「東西案」「南北案」、JR桂川駅近辺に設置する「桂川案」の3パターンの詳細ルート案を提示(京都駅はいずれも地下)。当初2兆1000億円としていた事業費は、最大(南北案)で2.5倍の5兆3000億円(将来の物価上昇などを見込んだ事業費)にのぼります。工期は、最も長い東西案で28年と、いずれも当初想定の15年より10年以上長くなります。

 与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)は、2025年度着工を目指し、年内に詳細な駅位置やルートの絞り込みができるよう急ピッチで推進しています。

 こうした動きに対し、延伸計画に反対する市民が18以上の団体を各地で結成。それぞれが政府や鉄道・運輸機構、府、京都市など関係自治体に対する署名や要請行動、街頭宣伝、学習会などを行っています。

 日本共産党はこうした住民運動と共同・連携しながら、延伸計画中止を求める論戦を国会や各地方議会などで展開。同党府委員会は延伸計画が浮上してきた2016年から6回にわたって、問題点を告発し、中止を求める声明を発表してきました。

与党PTが現行ルートを発表したことを受けて、2017年4月に日本共産党の洛南、山城両地区委員会が開催した北陸新幹線延伸計画シンポジウム

 7月26日には、小浜ルートは直ちに「断念」し、米原ルートも含めた「延伸計画(敦賀~新大阪)そのものの中止を求める」声明を発表。延伸計画の三つの問題として、▽地下水・河川などの影響や有害物質を含む建設残土の問題など、自然環境・住環境への影響▽莫大な建設費への税金投入で、暮らしと営業への重大な影響▽大都市圏を結ぶ北陸新幹線は、大都市への一極集中を加速させ、地方の衰退をもたらす─と指摘。「(敦賀止まりとなった)サンダーバードの金沢までの復活など在来線の強化、路線バスをはじめとした地域公共交通の充実が求められている」と訴えています。

自民 西田整備委委員長が計画強行へ無責任発言連発

維新 「米原ルート」提言も吉村共同代表は現行ルート支持

 自民党は与党PT整備委の西田昌司委員長(参院京都選挙区)を筆頭に、延伸計画推進を強行しています。西田氏は、莫大な費用負担について「償還年数を100年に延ばす」、地下水への影響については「決まったルートはあらゆる課題をクリアしていることになる」、残土処理についても「残土処理は地元に負担をかけるが、駅ができれば負担以上の大きな便益を受ける」など(いずれも『京都』6月4日付)と、ルールを無視し、無責任な発言を繰り返しています。

 一方で、石川県議会は6月、現行(小浜)ルートは費用が莫大で建設期間が長過ぎることから、「米原ルート」の検討を求める決議を可決するなど、県内の自民党議員が主導するもと、現行ルートに反対し、米原ルートを推進する動きが起こっています。

 自民党が支える松井孝治京都市長は、8月の記者会見で、財政負担、環境、水源への影響などの課題を挙げ、「厳しく慎重に判断せざるを得ない」と強い懸念を示しています。

 維新は、同党国会議員団と「教育無償化を実現する会」が6月、米原ルートにすべきとする提言書を国交省に提出しました。しかし、吉村洋文・共同代表(大阪府知事)は現行ルートの支持を表明。17日には大阪市内で開かれた「北陸新幹線整備促進シンポジウムin関西」に参加し、「大阪、関西と北陸が新幹線でつながることが重要」と述べました。

立憲 候補者アンケートで「反対」はゼロ

 立憲民主党は、福山哲郎府連代表(参院議員)が現行ルート支持を表明(「京都」8月2日付け)し、京都新聞の候補者アンケート(10月21日付)で、「反対」と回答した人はゼロでした(3区泉氏、6区山井氏「賛成」、1区平竹氏・5区山本氏「どちらでもない」)。

 日本共産党の堀川あきこ衆院近畿比例候補(京都2区重複)は、府内各地で延伸計画の問題点を知らせながら街頭宣伝を実施。延伸計画の費用が5兆円にのぼり、地下水を使う事業者から延伸反対の声が上がっているとし、「地下水が枯れるようなことがあれば、京都の産業は大打撃を受けます。自然を壊し、莫大な費用がかかる延伸計画は中止し、地域の公共交通を充実させる政治へ転換しよう」と訴えています。