衆院選2024 ジェンダー平等に背を向ける自民党政治変えよう
総選挙が27日に投票を迎えます。日本共産党は、「ジェンダー平等は、誰もが人間らしく尊厳を持って生きられる社会の大前提」と考え、ジェンダー平等に背を向ける自民党政治を変えようと訴えています。家父長的家族観(明治憲法下の男性を家長とする支配構造)、男尊女卑の価値観が残る法律や制度によって、生きづらさを抱える女性らに、日本共産党への共感が広がっています。
【離婚後共同親権】
DV被害者「生活壊される」
離婚後、「共同親権」を導入する民法の改定が通常国会で強行されました(5月)。これは、これまでは離婚後、父母のどちらか「同居親」が単独で親権(子どもの身の回りの世話をし、財産を管理する)を持つとしてきた規定を変更して、「別居親」と共同で持つことを可能としたものです。重要事項の決定に双方の同意が必要になります。
合意がなくても家裁判断次第で
しかし、夫婦関係が破綻して話し合いが難しく、親権の共同行使の合意ができない父母間にも、家庭裁判所の判断次第で共同親権を定め得る内容です。拙速な審議に対し、DVや虐待を理由に離婚した被害者らは、別居親による干渉や支配が続く手段となり、危険だと反対の声をあげていました。関係が立ち行かなくなった父母にも共同親権が強制されたら、子どもの利益にならないと警鐘を鳴らし、審議中止を求めるオンライン署名は24万人を超え(5月)、各県弁護士会からも導入を懸念する声明が出されています。
予定される2026年の施行を前に、反対の声をあげる決意をした京都府内在住の中井あやさん(40代・仮名)。暴言を吐き、家計に生活費を入れない夫から離れ、小学校低学年の子どもと落ち着いた生活が送れるようになったシングルマザーです。
離婚前にはシェルターの利用も考えましたが、仕事や子どもの居場所など、不安は解消されず、支援体制の弱さを実感。今後、改定法の実施で、進学や子どもの成長の節目に元夫の同意が必要になるとか、高校授業料の無償化で元夫の収入が合算されて支援の対象外にならないか、不安を募らせています。「医療や教育に関して同意のために連絡を取るとなると、いまの生活が壊される」と表情を曇らせます。
子の権利守るため共産党議席増を
国会では、日本共産党とれいわ以外が賛成しました。日本共産党は、改定民法が「子は親権に服する」という規定をなくし、親の責務として「その子の人格を尊重し」「自己と同程度の生活を維持することができるように扶養しなければならない」と記されたことは一歩前進と評価。しかし、「親権」の用語が残り、子どもの意見表明権の明記がないこと、別居親による干渉や支配が復活、継続する手段となり、子の権利や福祉が損なわれる危険が否定できないなどとして反対しました。
中井さんは、DVや虐待などの難しいケースがあり、不安の声があるにも関わらず法改定に賛成した議員に不信を抱きます。同じ境遇の人、次世代のためにも反対の声を閉ざしたくないと言い、「強い抵抗勢力として日本共産党に頑張ってほしい。ジェンダー平等、子どもの権利を守るためにも議席を増やして」と期待を込めます。
【非正規公務員】
8割が女性、賃金格差固定化招く
男女の賃金格差は生涯賃金で約1億円─。女性が多い非正規雇用に対する差別やコース別人事制度などの間接差別、女性の担い手が多いケア労働分野の処遇の低さが背景にあります。
専門職でも雇い止め「尊厳踏みにじられる」
公務の職場でも保育士、司書、女性相談支援員などの専門職で非正規化が進みました。2020年4月に導入された新たな非正規公務員の制度「会計年度任用職員制度」は、1年ごとの任期を更新し、3年目などと定められた期間で公募にかけられ、雇用継続が不安定な労働形態です。同職員の約8割を女性が占め、年収200万円未満が6割(自治労連アンケート)にのぼります。
正規公務員として長年働き、20年から「会計年度任用職員」として働く府内の女性は、継続性の必要な専門職でもいったん雇い止めにする「公募制」を問題視します。「業務経験が評価されず、制度によって尊厳を踏みにじられる思い。非正規を選んだことを自己責任にせず、労働者として対等に向き合ってほしい」と訴えます。
無期転換ルール、公務でも適用を
そして、民間の無期転換ルールのように、5年働いたら期間の定めのない雇用に移行する制度を公務でも適用するよう求め、「国に働きかけ、改善させたい」と話します。
日本共産党は、「賃金はジェンダー平等社会を築く上での土台」と位置づけ、男女の賃金格差是正に向けて、賃金格差の開示を国会で繰り返し求めてきました。労働者301人以上の企業の格差公表が22年から義務付けられ、今後は、101人以上の企業にも拡大される見込みです。
「会計年度任用職員」については、同制度が女性の低賃金の固定化を招いていること、いったん雇い止めして経験がリセットされる公募制の問題点を繰り返し指摘。無期転換と処遇改善を急ぐよう求めています。
【所得税法56条】
家長の“所有物”と扱う差別規定
税制にも、家族を家長の所有物のように扱った戦前の家父長制の考えが引き継がれています。
家族への給与は経費と認めない
所得税法56条は、家族(配偶者や親族)への給与は経費として認めない規定です。自営業や農家を支える家族従業者の働き分(自家労賃)が事業主の所得に合算され、控除(年間で配偶者86万円、親族50万円)されるだけ。
結婚後、着物の制作やメンテナンス加工に関わる悉皆(しっかい)業を家族従業員として支える藤本麻美子さん(40代)は、民商の勉強会でこの規定を知り、「びっくりしました。時代に合わない」と感想を持ちました。
さらに驚いたのは、専従者控除の額をもとに換算した時間給の額。1日8時間、月25日働く実態で計算すると、配偶者が358円、親族は208円です。「最低賃金にも程遠い」と衝撃を受けました。
家族従業員の多くは女性で、労働の報酬を認めない56条は差別規定です。所得証明が得られず、社会保障や行政手続きで不利が生じると指摘されますが、麻美子さんも銀行ローンが組めない経験をしました。
長年、全商連婦人部協議会が、所得税法56条廃止の請願を国会に提出。地方議会にも意見書の採択を働きかけ、572自治体(6月現在)で意見書が採択されています。国連も規定の見直しを政府に勧告(2016年)しています。
定額減税でも障害に「一日も早く廃止を」
56条の規定は、岸田政権が実施した定額減税(減税と給付金が一体になった1人4万円の減税)でも障害となり、当初、親族従業者は対象外でした。
国会で日本共産党は、この規定で自営業者の家族が苦しんできた実態を示し、「定額減税までも差別をするのか」と追及。政府は、来春の確定申告後に調整給付をするとしています。
麻美子さんは、「この規定は人権問題です。廃止できるのは国会議員。共産党は以前から取り上げてくれています。賛同する議員が増え、一日も早く廃止してほしい」と話します。