北陸新幹線延伸計画 世論に押されて自民党内が大混乱に/「ルート再考」文言削除し再提出→府議が「虚偽の無効文書」と批判
自民党府議団(近藤永太郎団長、26人)は、北陸新幹線延伸計画の「ルート再考」を求めて西脇隆俊府知事に提出(11月11日)していた要望書について、「ルート再考」の文言を削除する修正した内容の要望書を11月20日に再提出しました。しかし、同党府議からは「(修正した要望書は)虚偽の無効文書だ」とする意見が出るなど、二転三転する混乱した事態に陥っています。延伸計画を推進する、与党整備委員会委員長の西田昌司参院議員(自民党府連会長)を公然と批判する声も上がっています。
自民党府議団が当初提出した要望書は、事業費の増大や工期が大幅に延びたことについて、「当初の着工に係る前提条件に大幅な変更が生じた」と指摘。地下水や建設残土の処分などに府民から懸念の声が上がっているとし、「ルートの再考」や丁寧な説明などを求めています。修正した要望書では、「ルートの再考」を削除し、「山陰新幹線の実現につながるルート」を求めたとしています。
「なぜ横やり」西田氏を批判
この「修正」要望書について、四方源太郎府議(綾部市選出)は、11月21日付のブログで、「虚偽の無効文書が出される」の見出しを立て、要望書を再提出したことについて「議員団会議で了承されておらず(提案すらされていない)、無効な虚偽文書である。この要望書の再提出については、私が聞く限り、ほとんどの自民党府議が事前にも事後にも何も伝えられていない」と主張。
「京都」(11月21日付)の報道で、「西田昌司参議院議員が府議団幹部に修正を求めた」としていることについても、「なぜ、国会議員が府議団の意思決定に横やりを入れてくるのか? 『良識の府』の議員だとは全く思えない」「西田議員が府民の反対を押し切ってまで、なぜ北陸新幹線の小浜京都ルートにこだわるのか? 全く意味が分からない」と強く批判しています。
また、11月20日に開催された与党整備委員会で、石川2区選出の佐々木紀衆議院議員が「米原ルート」への再考を求める意見を述べたことをめぐり、「佐々木氏が今後も米原ルートを主張する場合、委員の差し替えもあり得ると伝えた」(「京都」同日付)と報じられています。
これについて四方氏は、「こういうのが西田議員のいつものやり方だが、いつまでも強権的なやり方は通用しない。これで『小浜京都ルートは潰えた』と言っても過言ではないだろう」としています。
再提出要望は「メモ」が流出
さらに、同25日付のブログでは、団会議で「『再提出』されたと報じられた『要望書』は単なる内輪の『メモ』であって、『外に出るはずのないものが出てしまった』と荒巻隆三代表幹事から謝罪と説明があった」とし、修正した要望書は「メモ」が流出したものだと同府議団で確認したとしています。