建築審査会で意見陳述に臨む住民ら(右側)=2024年12月20日)
マンションの建設現場(京都市左京区)

 京都市左京区松ケ崎での巨大マンション建設で、地元住民らが市建築審査会に建築確認の取り消しを求めている問題で、同審査会は20日、公開口頭審理を行いました。住民らは、11棟マンションを1棟と見なすことで、本来設置すべき通り抜け道路を不要としているのは建築基準法に違反すると訴え、利益第一主義の計画を批判しました。
 
 計画では、旧郵政省の「かんぽ生命保険事務センター」の跡地2万2800平方㍍に、高さ15㍍(5階建て)幅130~140㍍のマンション(約400)を建設予定です。長谷工コーポレーション(本社東京都)が昨年8月から開発工事を実施。今年3月に市の建築確認が下り、現在、工事が進められています。

 これに対し、住民624人が今年6月、建築確認の取り消しを求める審査請求書を市建築審査会宛てに提出していました。この日の口頭審理で、住民らとともに専門家が意見陳述を行いました。神戸松蔭女子学院大学元教授(都市計画、建築計画学)の中林浩氏は、マンションの敷地はきわめて大きなブロック(160㍍×170㍍)で、通常の3~5倍の広さがあると説明。ブロックの内部には、広場や通り抜け道路の設置が必要にもかかわらず、棟の一部をつないで「1棟」とすることで、各棟に接する道路が不要となっていることについて、消防車や救急車などの進入にも支障を来たす構造になっていると指摘しました。その上で、「公共の福祉」「土地の合理的利用」を定めた建築基準法や都市計画法に反すると強調。「必要な道路を省き、いかに床面積を広く確保するのかを追求した計画となっている」と述べ、事業者の利益第一主義を批判しました。

 1級建築士の大森直紀さんは、各棟ごとの接続状況を検証。マンションの配置図()を画像で示しながら、1階部分のみ接続している棟や、全ての階が未接続で棟と棟の距離も長いため、「到底一体とは認められない」棟が複数あることを具体的に説明しました。

 住民を代表して意見陳述した小畑健二さんは、巨大な要塞のような建物が建ち、1200人の人口増が想定されていることについて、閑静な住環境を壊し、交通渋滞や交通事故などの道路の安全上も大きな問題と訴えました。

マンションの配置図