ジェンダー平等教育の意義つかむ 京都女子大学で「男社会」考えるシンポ/京女から平和をつくる会
京都女子大学(京都市東山区)の教職員でつくる「京女から平和をつくる会」は11日、「京女で男社会について考える~自他を大切にできる人になるために」と題したシンポジウムを開き、「男性支配の構造」のなかでのジェンダー平等教育の意義や社会に根深く残る構造を変える考え方などについて学びました。
戦争につながるテーマと考えて
同「会」は、安倍政権(当時)が14年に憲法9条の解釈を変更し、集団的自衛権の行使容認を閣議で決めたことを受けて開いた学習会を機に発足したもの。シンポには大学生や高校生、一般市民らが参加しました。
今回、担当した市川ひろみ教授は、日本はいま、主体的に武力行使を検討する戦争準備の中にあると述べ、日本全体が悪い意味で男社会に向かうことは戦争にもつながる重要なテーマとの問題意識を示し、「双方向の議論を深めよう」とあいさつしました。
京都の男子中高一貫校で講師を務める田中めぐみさんが、自身が取り組んでいるジェンダー平等を学ぶ授業実践について報告し、中高一貫校で性教育などに取り組む大月隆生さんが、「男性支配の根深さを考える─性的同意を例に」と題して講演した後、両者と男子高校生を交えて意見交換しました。
田中さんは、授業のきっかけについて、権力を保有しやすい役職に就く生徒たちが、早い段階からジェンダー平等やフェミニズムについて学ぶことで、当人も社会にとっても“生きやすい”状況をつくることにつながるのではと考えたことだったと紹介。専門家を招いて、男性の生きづらさやフェミニズムなどを学ぶ授業や男性性について考える授業に取り組み、全世代でジェンダー平等や包括的性教育を学ぶ重要性を強調しました。
「性的同意」を切り口に話した大月さんは、戦争の中で性暴力が支配の道具として使われ、戦争に国民を駆り立てる中で“男らしさ”があおられると述べ、「小さな個人間のやりとりの中で起こる暴力が大きな暴力につながると思う」と発言。その上で、性的同意や避妊にも男性主導がみられる日本社会の現状を示し、コミュニケーションの重視や感情を言葉で表現する努力など、構造を変えていくアプローチを提案しました。
田中さんの授業を受けた高校生を交えたディスカッションでは、参加者から生徒への質問も多数寄せられました。
“男らしさ”の呪縛解け楽に
授業を受けての感想や変化については、“男らしさ”に縛られなくていいと知り、「気持ちが楽になった」「学校生活が過ごしやすくなった」と応答。また「性差の固定観念に固執している人にどんなアプローチをしたらいいか」との質問に、「若い世代が声をあげ続けることで、考えを改めてもらえるのでは」「父親が古い考えを持ち出す時、学んだ知識で今は違うと伝え、一緒に学ぶ立場で話している」などと紹介しました。