京都市の国保料引き上げ案の資料を見ながら話し合う(右から)川本さん、山元さん、会員の男性ら

“市民生活への影響をどう考えてるのか”

市「納付金伸びは保険料転嫁」明言 26年度以降も引き上げ方針

 京都市は1月29日、来年度の国民健康保険(国保)料を引き上げる案を発表しました。1人当たり平均10・4%の引き上げ案で2000年度以降、最大となります。市は、府に支払う納付金が増えたことを理由とし、26年度以降も、納付金の伸びを保険料に転嫁していくとしています。

 加入者の自営業者らは「生活苦の中でさらに負担増を言うのか。緊急の反対署名に取り組みたい」と怒りの声を上げます。

 引き上げの対象となるのは国保加入者約25万人余り。引き上げは3年ぶりで、市の案では、1人当たりの保険料は平均で9万8746円から10万8968円となります(別表参照)。引き上げ率は約10・4%で、この間で最大だった01年度の7・03%を上回ります。

 国保料は、府から毎年求められる納付金をもとに、市町村が決めています。来年度の納付金の京都市の割り当ては約419億円で、高齢化に伴う医療費の増加などの影響から、前年度比5%、約20億円増加しました。

 市ではこれまで基金の取り崩しや、一般会計からの繰り入れで保険料を一定は抑えてきました。ところが、来年度からは一般会計からの繰り入れを抑制する方針に転換。従来の繰入金64億円は継続するものの、今後は「納付金の伸びを保険料に転嫁していく」と明言しました。

 来年度については、64億円を投入しても医療費の増などで85億円の財源不足となるため、保険料の値上げ分32億円、基金の取り崩しや一般会計からの臨時的支援の53億円を追加して対応するとしています。ただし、26年度から29年度まで段階的に追加支援額を減らし、国保料への転嫁などで埋めていくとしています。一般会計からの繰入金抑制方針をやめない限り、再来年度以降も保険料の引き上げとなることは必至となっています。

 市は2月議会(17日開会)に保険料の引き上げを盛り込んだ予算案を提案する方針で、国保の加入者からは怒りが噴出しています。

 中京民商の会員で喫茶店を営む川本修平さんが開いた確定申告に向けた勉強会では、国保料の引き上げ案が早速、話題となりました。

 日本刺繍の職人で、会員の男性と同民商事務局長の山元歩美さんが参加。職人の男性は「保険料は年間15万円を超えてる。今でも大変なのに、また上げるなんてとんでもない。コロナ禍以降仕事は減ったままやのに、市民の生活をどう思っているのか」と怒り心頭です。

 山元さんも「業者は物価高、売り上げ減、コロナ禍で借りた融資の返済と三重苦にあえいでいます。先月だけでも会員の店、3軒が廃業に追い込まれました。一般会計からの繰り入れ増へ市長が決断するしかないでしょ。引き上げストップの緊急署名をやりたい」と訴えました。