「完全勝利まで頑張る」 京都市児童館・学童クラブ職員労組損害賠償訴訟控訴審/大阪高裁

原判決取り消し一審へ差し戻し
「審理尽くせ」という意味での差し戻し、「負けた訳ではない」
京都市の児童館や学童クラブの職員らでつくる「全国福祉保育労働組合京都地方本部」(京都地本)との団体交渉に応じるよう命じた京都府労働委員会の命令に、市が従わないのは違法として、損害賠償を求めた訴訟で、2審の大阪高裁は2月21日、1審の原告の主張を認めた判決を取り消し、京都地裁へ差し戻す判決を言い渡しました。京都地本は同日、報告集会を京都市内で開き、勝利するまで頑張ることを誓い合いました。
市を訴えていたのは、京都地本と同学童保育・児童館支部。京都地本は約30年間、市との団交を行ってきましたが、市が2020年、「労使関係にない」として一方的に団交を拒否。そのため、京都地本が府労委に救済の申し立てをしたところ、府労委は22年に、一部団体については市は団交に応じる義務があると命じました。
ところが、市は命令の取り消しを求めて京都地裁に提訴する一方、団交に応じなかったことから、京都地本は23年2月、市に損害賠償を求めて京都地裁に提訴。同12月、地裁は市の違法性を認め、30万円の賠償を命じ、双方が控訴していました。
控訴審の判決で、大阪高裁の黒野功久裁判長は、市が労働組合法の使用者に当たるのか、これまでの協議が団交に当たるのか、法的性質や位置づけなどについて、「原告、被告の双方にさらに主張立証を尽くさせることが相当である」と指摘。「原判決を取り消した上で、京都地裁に差し戻す」としました。
報告集会で、京都地本の大西謙委員長は、「大阪高裁の判決は、審理を尽くせという内容だった。改めて京都地裁で市の違法性を堂々と主張していきたい」とあいさつしました。
学童保育・児童館支部の大西良武委員長は「団交を再度勝ち取りたい」と述べ、原告がそろって「完全勝利まで頑張る」と決意を述べました。
弁護団の大河原壽貴弁護士は「一審では、原告が団交を期待することには合理的理由があると判断している。団交を30年重ねてきたことなどを改めて主張していけば、訴えは認められる」と述べました。塩見卓也弁護士は「負けたという判決ではない。審理を尽くしてほしいというものだ。引き続き頑張っていこう」と呼びかけました。