時代を記録し、心に刻む力作209点 8月12日まで、「視点」
今年で32回目の日本リアリズム写真集団京都支部「視点」京都展委員会主催(後援は京都府・京都市)による公募写真展『視点』京都展が京都市左京区岡崎の京都市美術館別館で8日から開催されています。
全国から応募作品811人・1623作品より選ばれた206人・209作品の入賞・入選作品群は圧巻です。最優秀の視点賞には宮城県の佐藤英太郎さんのモノクロ『創痕…戦争の思いと現実・父への鎮魂歌』で手前には白い花が咲き乱れバックには墓標が林立しているシーン。選者の木村恵一さんは「長い年月にわたって抱き続けた父への思慕の感情を風化させずに撮り続けた。戦争への批判も静かな視線ながらしっかりと表している」(座談会記録)と論評します。
受賞した佐藤さんは「戦争を引き起こす者への怒りがこみ上げてきた。力による弱い者への支配では決して平和な社会は作れない!!」(写真集のことば)と。元理事の新保隆久(三重県)さんは会場で「この写真展はプロや愛好家とかの分け隔てのない公募展であり、重複応募もできる唯一の写真展です。やはりその時代の社会・政治や人々の生活を記録することが大切です」と語ります。「人々の心に記録を刻み、時代を記録し、後の人々に今を伝えていくこと」、「写真は社会を変えるきかけになる」展示会です。京都支部会員16人の作品群も展示されています。12日まで。午前9時から午後5時(最終日は午後3時半)。(仲野良典)
(写真=佐藤さんの『創痕…』の作品を鑑賞する参観者)