秋野不矩展 新境地切り開き続けた画家
日本画家で文化勲章受章者、秋野不矩の生誕100年を記念する展覧会が、京都市左京区岡崎の京都国立近代美術館で開かれています。
今回、ゆかりの地京都で没後初となった回顧展には、不矩(1908年~2001年)の初期から最晩年までの代表作90点が一堂に出展。70年の画業を展観できる、見ごたえあるものとなっています。
清潔感あふれる女性を描いた「朝」には、新進女性画家として活躍をしていた時代の瑞々しさがあふれています。
40歳で旧態依然とした日展を飛び出し、「創造美術」を結成して以降の、洋画技法も交えて描いた「青年立像」などの作品群からは、新たな作風へ挑戦する意気込みが伝わってきます。
54歳からインド滞在を機に描き始めた「インドシリーズ」。中でも、代表作「渡河」「雨雲」など雄大なインドの風景を個性的に描いた大作は、見るものを圧倒します。
92歳まで、新境地を切り開いていったスケールの大きな作家は、「絵画とはその作家の魂の象徴。作家の生涯の研鑽の道程」と言葉を残しています。
芸術性家としての確固とした生き方までも伝わってくる展覧会です。
5月11日まで。5日を除く月曜休館。(辻井祐美子)