随筆家の岡部伊都子(おかべ・いつこ)さんが29日午前3時59分、肝がんなどによる呼吸不全のため、京都市内の病院で死去しました。85歳。大阪市出身。葬儀・告別式は親族だけで執り行います。
 1923年3月6日生まれ。大阪相愛高等女学校を病気のため中退し、1954年から執筆生活に入りました。
 婚約者を戦場に送り出した自責の念から、反戦・平和を執筆活動や講演などで訴え続けました。反戦・平和の党、日本共産党に期待と激励の言葉を寄せていました。
 京都民報には、1997年5月4日号に「Bigインタビュー」に登場したのを皮切りに、寿岳章子さん(国語学者)、井上哲士さん(現・日本共産党参院議員)との紙上対談(98年新年号、99年7月25日号)を行いました。また、連載「思いこもる品々」「続 思いこもる品々」「ふれあういのち」を計182回の長期にわたり執筆しました。
 著書は『抄本・おむすびの味』(創元社)、『シカの白ちゃん』(筑摩書房)、『沖縄からの出発』(講談社現代新書)、『生きるこだま』(岩波書店)、『岡部伊都子集』(全5巻、同)、『未来はありますか』(昭和堂)、『思いこもる品々』(藤原書店)、『清らに生きる 伊都子のことば』(同)など多数。