京都の学生ら国会へ要請(10) 大嶋委員長と佐々木衆院議員の発言
「貧困・格差をうちやぶり、日本の未来をきりひらこう!学費・教育費シンポジウム」での全学連・大嶋祐介委員長と紹介議員となった政党を代表して日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の発言(大要)を紹介します。(山手四郎)
全学連・大嶋祐介委員長
このシンポジウムに向けて作った「学費黒書」には、全国から1万を超える声が集まっています。学費が「安い」という学生はわずか1パーセントしかいません。
高い学費が学生の進路を狭めているのは、みなさんも実感していることだと思います。自分が困っているにも関わらず、親に申し訳ないと答えている学生が目立っているというのが今回のアンケートの特徴です。
学生が生活するお金を捻出することによって、身も心も犠牲にしているということが色んなところから聞こえてきます。
支出で真っ先に削られるのは食費という答えが多かったです。例えば1日の食費が250円という回答。これを見て僕は友だちに「こんなにひどい実態があるんだ」と話したら、友だちは「業務用のパスタを買ってきて、具なしで食べれば1日250円以下」と言いました。これが今の学生の実態だと思います。
「黒書」には1カ月4500円という声がある。だいたい1日150円という数字でした。「1日1食しか食べていない」、「就職活動で睡眠時間も取れない」という声があります。大多数の学生が少なからず食費を削ったり不安や悩みを抱えていると思います。
大学生協連の調査でも学生の平均の生活レベルが最低賃金と同じぐらいです。
奨学金の問題もあると思います。学生3人に1人が奨学金を借りている実態がある。将来への不安があり、困っていても借りられないという人もいます。奨学金は本当に困っている人のための制度のはずです。役割を果たしきれていないのではと思います。
希望した進路が奨学金を借りなければ通えない、奨学金を借りてまで通う意味があるのか。親の負担も考えたときにそこまでして進学する必要性があるのか。自分の夢をあきらめざるをえない状況があると思います。返せるか返せないか、そういう不安の根底には今の不安定な働き方であったり、貧困や格差というのが本質的な問題だと思うんですね。
学生が今後社会を担っていく存在として、安心して学べる環境をつくることが重要だと思います。みんなと一緒につくっていきたい。
日本共産党・佐々木憲昭衆院議員
学生の立場、親の立場、それぞれ大変深刻な実態が報告されたと思います。私は北海道の小樽商科大学の出身ですけど、当時は学費がこんなに上がるということは想像もしておりませんでした。当時は1万円ちょっとだったんです。今は国立大学でも53万円(標準額)ですから43倍。私立大学も8万5千円ぐらいだったのが、80万円(入学金、設備費含まず)なので授業料の値上げは10倍。みなさま方は今の現状はひどいとお思いでしょうが、我々の時代と比べると目の玉が飛び出るぐらい大変なことなんです。電力にしろガスにしろこんなに上がった公共料金はありません。
学生のみなさんは身も心もぼろぼろになるような状態で、家計が大変だから大学に行くのもやめざるおえない。まさに憲法が保障する教育の機会均等を破壊していると思います。
私どもは4月16日に学費提言「『世界一高い学費』を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために」を出しました。
この提言は1つは公立高校、国公立大学の授業料の減免制度をもっと枠を広げろということ。私立高校、私立大学の減免のために直接助成制度を導入せよということ。奨学金はすべて無利子にする。教育というのは国の基本なんですから、利子はとらない。返済猶予を拡大すること。経済的に困難な学生には給付製制度の奨学金を作る。もう1つは学費の段階的無償化を定めた国際人権規約に批准するということです。具体的に提言し、運動しているところです。
政府はお金がないお金がないというが本当にないでしょうか。私たちの提言は全部やってもだいたい2000億円。この程度のことはすぐできる。例えば米軍への思いやり予算を半分に削るだけで簡単にできます。国民に対しては負担ばかり増やしていますけど、儲かっている大企業の税金は軽くなっているでしょ。例えば税率を元に戻すだけで4兆円の財源ができる。そういう政治のあり方、社会のあり方を私たちはよく考える必要があると思います。
今、国民の声が政治を動かしております。国立大学の学費値上げは小泉内閣以来、2回あったんです。しかし皆さんの闘いが値上げをさせない状況をつくったんです。東京大学では年収400万円以下の学生に授業料が免除になる。そういう変化が起こっている。
先日、日本共産党の東京の組織と民青同盟が文部科学省と交渉したんです。そしたら文部科学省は学費値下げの方向を言わざるおえない。みなさんが政府や政治家に働きかける。このことが具体的な成果として現れてくるわけですね。政治は働きかければ変わる。昨年の参院選で参議院は与野党が逆転して、与党はあまり横暴なことはできなくなりました。しかし衆議院では与党が3分の2を持っていますから古い政治が残っている。これを変えなければならないと私どもは考えているわけであります。シンポジウムをきっかけに今の政治を大いに考え、なぜ大学はこういうことになっているのか、問題の根源にまでみなさんが深く考えていく機会になればと思います。