伏見区中書島にある長建寺(地元では「島の弁天さん」と親しまれている)の境内には、モミジアオイ(紅葉葵)が大輪の深紅の花を咲かせています。
 モミジアオイはフヨウの1種で、茎は直立し高さ3メートルにもなり、5弁の12から18センチの大きな花が一輪、横向きにつく一日花。境内の西門付近に9月下旬ごろまで咲いています。
 長建寺は宇治川派流添いにある真言宗の寺院で1699(元禄12)年、伏見奉行建部政宇(たけべ  まさう)が中書島開拓時に弁財天を祀ったのが始まりと伝えられています。寺院前の宇治川派流の南浜界隈で京、大阪を往来する廻船の守護神として信仰されていましたが、今も親しまれ訪れる人が絶えません。
 境内には伏見の名水の一つである閼伽水(あかすい=インドの水の神で仏に供える水)が今も湧いています。また1000年前のおみくじの元祖といわれる良源考案のおみくじの元本もあり、狭い境内ですがいろいろと楽しめる寺院です。
「花人の 落ち合ふ驛(えき)や 中書島(虚子)」〔同寺境内の句碑より〕 (仲野良典)