刈り取られた田圃のあぜ道や河川の土手などに赤く咲く彼岸花。ちょうど9月の彼岸の中日ごろに咲くので彼岸花(ヒガンバナ)といわれています。もとは中国から渡来し、黄花のショウキスイセン、白紫のナツスイセンなども同系統で、海辺に白い花を咲かせるハマユウ(ハマオモト)も同じ系列。赤いきれいな花なのに、シビトバナ、ステゴバナともいい生け花には敬遠されています。曼珠沙華(マンジュシャゲ=インド語の音写)とも言われ天上に咲く花とか。ちなみにギリシア名はリコリスといい、ギリシア神話で海の女神のLycorisに由来。花言葉は「悲しき思い出」。球根などにはガランタミンなどアルカイドの毒をもっているからでしょうか。
 写真は浄土真宗中興の祖である連如創建の広大な山科本願寺の旧跡付近に再建された東本願寺(大谷派)の山科別院長福寺。門の溝に可憐な赤い花を咲かせていました。(仲野良典)
「真(まこと)ト見シハ影ナリキ 鏡ノ中ノ曼珠沙華 現身(うつしみ)ナガラ夢ナリキ 昼ナリケレド夜ナリキ」 北原白秋