尹東柱の無念と戦争への恐怖 宇治市で集い
「詩人尹東柱を偲ぶ京都の会」と「詩人尹東柱記念碑建立委員会」の共催で21日、宇治市民会館で「尹東柱の想いを今につなぐ」集いが開かれ、50人が参加しました。
韓国では国民的詩人として親しまれている詩人・尹東柱(1917~45)の記念碑を、「京都府立宇治公園塔の島」に設置許可を求める運動が進んでいます。
尹東柱は日本が植民地支配していた朝鮮からの留学生。同志社大学英文科で学んでいた時にハングル語で詩を書いていたことから、治安維持法違反の罪で投獄され27歳で獄死しました。投獄される直前、帰国する尹東柱を同志社の学友が送別会を兼ねて宇治川ハイキングを行い、天ヶ瀬吊橋の上で撮った写真が生前最後の写真であることが判明(NHKスペシャル「空と風と星と詩―尹東柱・日本統治下の青春と死」95年3月11日放映)。韓国からも尹東柱の面影を辿って宇治を訪れる人が多く、今も作品は国を超え、民族を超えて今を生きる人びとに愛されています。
9回目となる今回の集いでは、記念碑を建てる運動の経過報告と、尹東柱と尹東柱の弟・尹一柱の作品の朗読、尹東柱の作品「序詩」(野村浩二・作曲)「新しい道」「たやすく書かれた詩」(朴実・作曲)をもとに作られた新曲の発表が行われました。また、仲尾宏氏(京都造形芸術大学客員教授)が「尹東柱がいた頃の同志社」と題して講演しました。
仲尾氏は、様々な資料をもとに作成した年譜をもとに、宇治川ハイキングの2ヵ月後に検挙され、学友にも知られることなく孤独のうちに死んでいった尹東柱の無念と、無辜の人間が戦争へ巻き込まれていく時代の恐怖などを語りました。(紺谷延子)