衣笠知事誕生で政治の春を 30日舞鶴・市田書記局長の演説(大要)
30日、舞鶴市で行われた衣笠洋子候補個人演説会での日本共産党・市田忠義書記局長の演説(大要、文責・見出しは編集部)は次のとおりです。
みなさん、こんばんは。今日は寒い中を衣笠洋子さんの演説会にこんなにたくさんの方にお集まりいただきまして、ありがとうございます。
今日は今、たたかわれています京都府知事選挙で、一人一人の府民に政治の光を当てよう、そんな府政をつくろうと立候補し、頑張っておられる衣笠洋子さんを何としても知事の座に押し上げていただきたい、そのお願いに東京から寄せていただきました。どうかよろしくお願いいたします。
「小泉改革」で広がる「社会的格差」と「貧困」
みなさんの暮らしは、今、どうなっているでしょうか。今年の国会は冒頭から「小泉改革」の5年間で広がった社会的格差と貧困の問題が大問題になりました。格差をつくりだした張本人まで国会でこの問題を取り上げざるを得ませんでした。
世論調査では「格差が広がったか」の問いに読売新聞でも毎日新聞でも7割から8割の人が格差が広がったと答えています。それは誰のせいでしょうか。読売新聞の調査で58%の人が小泉改革のせいだと答えました。生活保護を受けている世帯が100万世帯を超えました。大企業の相次ぐリストラ、政府の規制緩和で派遣だとかパートだとか請負の不安定な労働者が小泉内閣の5年間で273万人も増えました。働いている若い人の2人に1人、働いている女性の2人に1人が非正規社員です。そういう人の平均年収は133万円です。
一方で、金さえあればなんでもできる、人の心も買うことができると言ってはばからないホリエモンのような人物が現れました。安倍官房長官は「堀江さんが仕事で成功できたのは小泉さんの改革の成果だ」と言いました。堀江氏は「小泉改革の規制緩和のおかげで非常に商売がしやすくなった」と言うのです。総選挙の選挙中に堀江氏の応援に行って武部幹事長は「私の息子です。弟です」と言う。国会で追及されると、「日本中の若者が子どものようなもの」と言ってごまかすのです。
どんどん規制緩和をやって、ここまで派遣労働者を増やした。ホリエモンは禁じ手、法律違反です。規制緩和で自由勝手に出来るように小泉改革がすすめてきた。ルールもモラルもない社会、政治を進めてきた。こういう政治を自民党と一緒にすすめてきたのが公明党です。民主党は構造改革には賛成です。問題は改革のスピードが遅いと批判。小泉改革の背中を押してやると推進してきました。
失業率悪化日本一、一番被害受けている京都
小泉改革のゆがみで京都が一番被害を受けている。事業所の減少率は京都が一番です。京都の事業所は2001年から2003年の間に23000倒産、廃業し、13万人が職を失いました。昨年の失業率悪化も京都が日本一です。青年の失業率は全国平均の1.3倍。青年から仕事を奪うことは未来を奪うことでもあります。
厚生労働省の調査によると、正社員の男性は34.7%が結婚をしているのに、非正社員では14.8%しか結婚していない。好きな人がいないんではない。結婚したいんだけれども収入が少ない。年収が133万円と少ないんです。結婚したくても出来ないんです。
日本共産党は、府がたくさんのお金を出している誘致企業に一定の割合で正社員の採用を求めるべきだと議会で追及すると、知事は「そんなことをしたら企業が来ない」と。この補助金は実は「雇用のための企業誘致補助金」です。この制度は大企業が正規社員を増やしてこそ役に立つ制度です。
でも、お金の使い方がえげつない。村田製作所が本社を移転するのに1億円補助した。村田製作所の福井工場に京都府民は雇用されていないのに、5千万円お金を出した。合計1億5千万円補助したのです。しかも、山田知事になって1社あたり限度額20億円に引き上げたのです。大企業にこれだけ優遇しておきながら、3万人が従事する伝統産業、和装産業には2億円の予算です。このまま続けさせれば、日本の未来も京都の未来も真っ暗になってしまうんじゃないでしょうか。
暮らし、福祉守る本来の仕事投げ捨てた山田府政
小泉改革のもとで、府政の構造改革を進める知事。それを支える自民、公明、民主のオール与党政治のもとで京都府政はいったいどうなったか。山田知事は、自治体が本来やるべき、府民の命、暮らし、福祉を守る仕事をどんどん投げ捨ててきたというのが最大の特徴です。
例えば、小泉内閣はお年寄りのみなさんに、わずかばかりの年金にも税金をかける。1円も年金が増えないのに、税金を払うことになる。そして、非課税でなくなると国保料、介護保険料を取り立てる。知事は国保料払えない人からは保険証を取り上げろと言う。全国でもこんな知事は一人もいません。
その結果どうなったか。国保証を取り上げられた人は京都府下で約3万世帯にものぼる。国保料を滞納している人の割合が全国平均29.6%です。京都府は36.9%で東京の2倍です。
国保証を取り上げられた人は窓口で医療費を全額支払わなくてはなりません。保険料が払えないのにどうして医療費が払えるのか。そもそも払えるお金がなくて困っている人が病気になっても医者にかかれなくなります。小泉内閣の痛み押し付け政治から府民の暮らしを守るどころか、小泉内閣の悪い政治をさらに加速させているのが山田府政ではないでしょうか。
府立洛東病院を廃止しました。1年前までは充実、強化すると言っておきながら、廃止を強行しました。洛東病院から患者さんが追い出されただけじゃないんです。これが引き金になって京都府内の各種公立病院が廃止、縮小、民営化されてきました。その号令をかけたのは山田知事です。
山田知事は昨年の10月に市町村経営改革支援チームをつくり、市町村の仕事を出来るだけ切り縮める、そういう号令をかけました。その結果、舞鶴市民病院の縮小・民営化、京丹後市の弥栄病院の産科が休止になりました。京都府では子どもが生めない事態にもなっています。
子どもの医療費無料化拡充、衣笠さんにやってもらおう
少子化対策が大問題になっている時に、知事は何をやっているのかとの批判が出ていますが、安心して子どもを生み、育てることが出来ない。どんな立場の知事でも共通の課題になっています。中でも子どもの医療費無料化の拡充は最重要課題です。
京都府でもせめて小学校入学までは一切の条件をつけないで無料化を拡充してほしいという要求が5000人を超える署名をもって府議会に請願されました。その時、山田知事は「京都の制度は全国トップクラス」と言い、冷たく拒否しました。一般会計予算で京都府の年間予算8000億円と同規模の栃木県では、子どもの医療費は小学校3年生まで無料です。就学前まで無料にするのに必要なお金はわずか11億円で出来ることです。
大企業の誘致のために1社に20億円の補助金を出そうという府が子どもの医療費助成には出せないことはない。京都府知事の府民を思いやる心がないのです。私は、今の知事にやる気がないんだったら、やる気のある知事に変わってもらおうではありませんか。子どもの医療費を就学前まで無料にすると公約している衣笠さんならすぐにできます。
台風23号被害が拡大した失政
山田知事が進めてきた構造改革は、府民の安全を犠牲にしてきました。おととし23号台風が京都は、とりわけこの舞鶴地方は大きな被害を受けました。京都府の予算を調べてみました。23号台風がおこった前の年、2003年の河川改修費は5年前の56%、約半分に減らされている。これがあの被害を大きくしたんです。
しかも、土木事務所の再編で舞鶴の土木事務所を無くして職員を大幅に減らしました。だいたい府知事選挙の前の2月議会ではいかに知事が立派であったかを与党が引き出すための質問をやるんです。ところがこの2月府議会で「50人近くいた職員が6人になり、市民は大きな不安をかかえている」と共産党の議員ではなく自民党の議員が質問をせざるをえなかった。誰の目にも山田府政の失政が明らかになったんではないでしょうか。
知事は「安全・安心、希望の京都」というポスターを張っているそうです。府民の命と暮らしを切り捨てておきながら何が安心安全希望の京都か。あのポスターこそ偽装、粉飾ポスターではないでしょうか。
自民党議員も「和田埠頭に展望あるのか」
じゃあ、府民のための仕事はやらないでみなさんの納めている税金を何に使っているのか。一番熱心に使っているのは無駄な公共事業です。ムダの中でも典型と批判されているのが舞鶴港・和田埠頭で500億円くらいかけているそうです。府議会の議事録見てびっくりしたんです。自民党の府会議員が、こういう質問してるんです。「500億円かけて整備しても貨物が集まりにくい。十分活用することができない。明るい展望があれば教えて欲しい」。
民主党の永田さんみたいな質問ですねえ。「あのメールが真実であることを証明する方法を教えて欲しい」と彼は小泉さんに質問してましたけれど、予算に賛成しておきながら「明るい展望があれば教えて欲しい」こういう質問をする始末です。
31000通の府民の声を示す選挙に
「民主府政の会」が京都の府政について府民アンケートを実施されました。私は驚いたんですけど、31000通の回答があったそうです。私も8年前まで京都の共産党の委員長として何度も選挙をたたかいましたが、一番多かった時でもアンケートが返ってきたのは2000から3000でした。それが31000の回答が寄せられたというのは史上空前であります。
その背景には小泉改革5年間、山田府政4年間の府民の暮らしの大変さ、福祉の大変さ、被害の深刻さがその土台にあると思うんです。だからこそ何とかして欲しい。そういう府民の気持ちがこのアンケートに表れたのだと思います。衣笠さんが訴えておられる「府民と心がかよう府政」、この思いは府民の圧倒的多数の声です。主権者は、1人ひとりの府民です。その府民のみなさんの声をはっきりと示すのが、今度の知事選挙ではないでしょうか。
海老名香葉子さんの3月10日
最後にどうしても言いたいことの1つ、それは、憲法の問題です。今、自民党、公明党、民主党などが、憲法9条を変えて、再び日本が海外で戦争できる国になるようにいろんな策動をめぐらせています。先日、私は随筆家の海老名香葉子さんが中心になって作られた東京大空襲の犠牲者を慰霊する碑「悲しみの東京大空襲」、上野公園の寛永寺の境内にあるんですけれど、それが、去年3月9日に建立されてちょうど1周年を迎えてというので記念式典があって、私、招かれて行ってきました。
海老名さんは、みなさんもご存知だと思うんですが、61年前の東京大空襲、3月10日、6人の親族、家族を亡くされました。おじいいさん、おばあさん、おとうさん、お母さん、そして兄弟二人、残ったのはお兄さん一人でした。そのころ海老名さんは、小学校5年生くらいで沼津に疎開しておられたんですけど、東京の方角の空を眺めると赤く染まっていた。自分のランドセルや本棚や教科書やノートが焼けてしまってもいいから、せめて家族の命だけは助かって欲しい。地面に額をすりつけながら拝まれたそうです。
海老名さんは、戦後61年間、毎年3月10日になりますと、結婚したら林家三平さんとともに子どもが生まれたら子どもと焼け跡に立たれています。この間、林家正蔵さんと一平さんとお会いしてきましたが、その子どもさんの手を引いて、孫ができたら孫を抱いて、毎年3月10日、東京墨田区の焼け跡に立たれるそうです。
その焼け跡はもう小学校になっています。そこへ花を海老名さんが供えられるんですけど、林家正蔵さんは、「どうして、お母さんが小学校の門の前に花を供えるのかわからなかった」。しかし、そうやって毎年、焼け跡にお母さんが立つのは、2度と戦争は繰り返してはならないという思い、これを「生き残った自分たちが全国に広げる責任がある」。そういう思いでお母さんがやっているんだなということがよくわかったとおっしゃっていました。
9条をどこよりも大切にしてきた歴史と伝統の街
憲法9条には、日本中におられる無数の海老名さんや岸壁の母、アジアで犠牲になった2000万人の思いが込められていると思います。そしてその思いを受け継いだ草の根で憲法9条を守ろうという人々によって、9条は守りぬかれてこられました。
中でもこの京都は憲法を暮らしの中に生かそうと、かつて府庁の正面玄関にはそういう垂れ幕が下がっていました。28年も知事としてがんばってこられて蜷川さんや先日亡くなられた寿岳章子さんなど多くの府民のみなさんの力によって、日本のどこよりも大切にされてきた歴史と伝統のある街。
その街で憲法守る草の根からの運動を支えて担ってこられたのが衣笠さんです。衣笠さんには京都の各界各層の皆さんが応援されているだけではなくて、作家の井上ひさしさん、山田洋次さん、あるいは澤地久枝さん、大橋巨泉さん、大橋さんは民主党から参院議員に当選された人ですが。京都だけではなく全国の幅広い特別の期待が寄せられているのは憲法の精神が花開く京都になって欲しい。衣笠さんの勝利で世界と日本の宝と言われる憲法の精神が花開く、そういう時代に21世紀をしようじゃありませんか。
米軍再編による基地強化反対のうねり
先日の参議院予算委員会で米軍再編にともなう基地強化、特に住民投票が行われた岩国の基地強化の問題をとりあげました。先ほど紹介がありましたが、投票に行った人の約9割の人が基地強化反対の意思表示をしました。岩国は戦前から基地がある。基地と共存して生きてきた、基地に対して従順な、革新勢力が決して強いような街ではありません。ところが投票に行った9割の人がこれ以上の基地機能の強化ごめんだということを表明しました。
日本政府は今やっている米軍再編というのは基地負担の軽減と抑止力の維持だと説明しています。実は岩国基地が米軍が海外に配備している最大級の基地ということが明らかになりました。そして、世界で1番多くの戦闘攻撃機が集中する。嘉手納よりもたくさん、米軍機だけで100機、自衛隊機合わせると130機、これだけの戦闘攻撃機が集中しているのは世界中で岩国しかありません。騒音は政府がどんなに小さく見せようとしてもひどくなる、低空飛行訓練も頻繁に行われるとういうことを政府は国会で認めざるを得ませんでした。
今、日本中で米軍再編の名のもとに基地の強化、負担の強化が強行されようとしていますが、岩国だけではありません。安保賛成、基地も結構だという立場の自治体の首長さんもこれ以上の負担の強化はごめんだと次々と立ち上がっています。自民党も推した沖縄の稲嶺知事もその1人です。先日沖縄では、35000人が集まって大集会が開かれました。
また、鹿児島県鹿屋市、人口の1割、8200人が集まって、ここには空中空輸機が嘉手納から移転される予定になっているんですが、市長さん先頭にこの集会に集まって自民党系の市長さんは「国は地域の理解なしには進めないと言ってきたが、地元に何の説明もなく頭ごなしにやってきた。20年、30年、50年先を見て対応しなければなりません。まちづくりに米軍はいらない」こういうあいさつをしました。
座間の市長さんは、「ミサイルを打ち込まれても断固阻止する」、相模原の市長さんは「戦車にひかれても反対する」そう言われました。小泉内閣が進めている自衛隊を米軍と一緒に海外で戦える軍隊にしよう、日本をそのために最も効率のいい殴り込み拠点にしようというもくろみは国民の大きな反撃にあっています。このたたかいは憲法9条守ろうという声と合流していくことに間違いありません。
当たり前の暮らしがしたいと願う府民と日本共産党の協力で
今度の京都府知事選挙は、こういう中でたたかわれる選挙です。暮らしがかかっていると同時に憲法と平和のかかった大事な選挙です。山田陣営には共産党以外の全政党が参加しています。政党の頭数だけで見ると相手は強そうに見えます。
しかし、内部はがたがた、メロメロなんです。小泉改革の破綻が今ほどわかりやすい形で私たちの目に映る様になったことはありません。耐震偽装事件、ライブドア事件、米国産牛肉輸入問題、官製談合の問題、一方の2大政党の民主党はメール問題で謝ってばっかりです。国会では逆イナバウワーと言う言葉がはやっています。後ろのそるのではなく、前に頭下げてばっかり。山田事務所の第一声には各党が並んだけれど、民主党はあいさつさせてもらえなかった。代表して伊吹さんだけがあいさつして、民主があいさつすると票が減る、頭数は多いが中身はぼろぼろ。
じゃあ、今の山田府政を変える力はどこにあるか、私はあたり前の人間らしい暮らしがしたいと願っている党派の違いを超えた広範な府民のみなさん、国の政治でも地方の政治でもどんな問題でも府民の立場にたって悪政に立ち向かって暮らしと平和守るために奮闘する日本共産党、広範な府民のみなさんと日本共産党の協力こそが、悪政を変える最も確かな力ではないでしょうか。どうか革新京都の心意気と良識を示していただきたいと思うんです。季節はもう春です。今度は衣笠知事の誕生で政治の春をご一緒に呼ぼうではありませんか。