京都府中小企業団体中央会(渡邉隆夫会長)が、17日開いた「経済危機突破 中小企業緊急大会」で採択された決議は以下の通りです。
 経済危機突破 中小企業緊急大会決議
 サブプライム・ローン問題に端を発するアメリカの信用不安は、大手証券会社の倒産や株価の大暴落を招き、世界経済を大きく揺るがせています。そして、こうした事態の背景には、ものづくりや流通・サービス提供などの本来の経済活動とはかけ離れた、極めて投機的な資本の活動があることは明らかであり、一方で中小企業や働く人々はそのしわ寄せを受けて厳しい経営や生活を余儀なくされています。
 戦後、日本は急速な経済発展を遂げ、世界にも例を見ない格差の少ない平等社会を実現してきました。この成長を支えてきたのは、ものづくり産業や生活に密着した流通・サービス産業であり、そこに働く多くの人々でありました。
 しかし、高度成長の終焉と経済のグローバル化の進行に伴い、いまや一部の資本が利益だけを追求するマネーゲームが、世界を席捲しつつあります。
 現在、世界のマネーゲーマーたちは石油や食料に目をつけ、投機による儲けの対象としています。その結果、石油製品の価格上昇に伴う様々な製品の生産・輸送コストの増大が中小企業をはじめ多くの産業の存続を脅かし、また、人々の生活を圧迫しています。さらに、小麦やトウモロコシなどの価格上昇は、食品加工事業者の経営圧迫にとどまらず、世界中の飢餓に苦しむ人々の救済をも困難にするなど、その影響は計り知れないものがあります。
 経済とは本来「経国済民」、「経世済民」であります。国民の生活を安定させ、将来に希望の持てる、不安のない社会の実現こそ経済の目指すものであるべきです。マネーゲームをはじめとする本来の産業とはかけ離れた資本の活動、すなわち「虚業」から、生産活動を基礎とし額に汗する者が報われ安定した生活が確保される「実業」の日本を取り戻すことが、今何よりも重要です。
 このため、「虚業」の蚕食によって衰退する地場産業や第一次産業をはじめとする「実業」と、これに伴って疲弊が進んでいる地方経済を振興、再生するため、政府において抜本的な対策を講じられるとともに、中小企業にとって喫緊の課題となっている金融対策の一層の強化を強く要請するものです。
 一 地域の経済と地場の産業に密着した中小企業や農林水産業などの「実業」に対する振興対策の抜本的な強化を図ること。
 一 直面する金融危機から中小企業・地場産業を守るため、金融対策の一層の拡充を図るとともに、その実効性を確保するための措置を講じること。
 一 中央一極集中を是正し、地方経済の再生を図るため、地方交付税の大幅増額など、地域の主体性を重視した対策を講じること。
 一 行き過ぎた投機的動きを抑制するとともに、「実業」振興や地方再生の財源確保を図るため、投機を目的とした資本の活動に対する新たな税(投機税=虚業税)を創設するなど、実効性ある措置を講じること。
 一 拙速な消費税の税率引き上げ議論を行わないこと。
 平成二十年十一月十七日
 京都府中小企業団体中央会