衣笠知事で政治の春呼ぼう 6日市田書記局長の演説(大要)
6日、烏丸御池で行われた「民主府政の会」の街頭演説会での日本共産党市田忠義書記局長の演説(大要、文責・見出しは編集部)は次の通り。
全国がかたずをのんで見守っている
ご通行中のみなさん、花冷えの中を衣笠洋子さんの街頭演説会にお集まりいただきましたみなさん、日本共産党書記局長の市田忠義でございます。いよいよ府知事選挙の投票日まであと3日となりました。革新民主の伝統が輝くこの京都。京都府知事選挙の結果を全国の人々がかたずを飲んで見守っています。
みなさん、その全国の人々の期待にこたえて1人ひとりの府民にあたたかい政治の光が当たる、そんな京都府政をめざしてがんばっておられる衣笠洋子さんを何としてもみなさんのお力で、知事の座に押し上げていただきたい、そのお願いに今日は寄せていただきました。どうぞよろしくお願いします。
実は、今日の演説会には当初、私どもの志位和夫委員長が寄せていただく予定でしたが、今日は衆院本会議が開かれまして、医療改悪法案の趣旨説明と質疑が行われております。どうしても京都に来ることができなくなりました。「みなさんのお力でぜひ衣笠さんを知事の座にとよろしくお伝えください」という伝言をいただいて来ました。私に代理が務まるか心配ですが、一生懸命お話しさせていただきますので最後までよろしくお願いします。
冷たい官僚知事にもうまかせられない
さて、この4月から、福祉や医療のサービスが次々と切り捨てられて、負担がどんどん増えます。たとえば、介護保険制度の改悪。保険料は大幅に値上げされるんだけれども、サービスの方はどんどん切り縮められる。年金も保険料だけ上がって、支給額は減らされる。その上、今日から衆院で審議入りした医療改悪、大変ひどい内容です。
一言で言えばお金の切れ目が命の切れ目。今でも大変なのに70歳以上の方の医療費の窓口負担を2割、3割に引き上げる、長期の入院患者を病院から強制的に追い出す。その上、これまでは少なくとも保険証一枚あれば必要な医療を受けられたのに、保険の利く範囲をどんどん切り縮めて、良い医療を受けたかったら全額自分で払いなさいと、医療にまで格差を持ち込もうという大変ひどい法案です。
自民党・公明党などがすすめる今の国の政治があまりにも国民、府民に冷たすぎる、こんな時だからこそ、地方自治体が国の悪政からみなさんの命とくらしを守る、悪政の防波堤の役割を果たして欲しい。これがみなさんの共通の願いではないでしょうか。ところが、今の京都府政どうでしょうか。国の悪政から府民の命とくらしを守るためにがんばるどころか、小泉さんのすすめる改革には同感だと、そう言ってはばからない。
そして、国以上に府民いじめの政治をすすめてきた、こんな冷たい官僚知事にこれ以上京都の府政をまかせるわけにはいかないじゃないですか。これ以上冷たい痛み押し付けの政治はごめんだと願っておられるみなさん、どうか今度の選挙は、党派の違いを超えてその思いをあったかな府政をとがんばっておられる衣笠洋子さんに託していただきたい。どうぞよろしくお願いします。
府民の心に響かない相手候補の訴え
選挙戦はいよいよ最終盤を迎えました。この間の論戦を通じて、いったい誰が京都の知事にふさわしいか大変はっきりしてきました。まず第1に、衣笠洋子さんの府民の立場にたった堂々とした主張と政策の前に、相手候補は府民の前に語る言葉をなくしてしまっているということであります。
告示後、3日目の演説会で今の知事は、京都府政はわかりにくいと言いました。現職知事でありながら何と情けない言葉でしょうか。それだけではありません。
最終盤に入った4月3日の演説会ではこう言いました。「選挙カーに乗っても雰囲気が沸いてこない」、「一生懸命に声を枯らしてがんばっているんだが盛り上がらない」。演説があまりにうまくないからだけじゃないんです。いくら熱心に訴えても府民の心に響かないのはなぜか。
本当の理由は、京都が自民党中心のオール与党府政になって28年、そして今の府政になって4年、いったい京都府民に何がもたらされたのか。それが非常にわかりやすくなってきたからではないでしょうか。
相手の陣営の組織の名前は「活力ある京都をつくる会」、これが彼らの団体の名前であります。28年たってその活力は一体どうなったでしょうか。蜷川府政のころには、京都府民の所得は全国第5番目でした、今はなんとそれが全国第19位であります。府民の所得は下がりに下がりました。
ところが、増えたものもあるんです。無駄な大型公共事業をすすめたために府民の借金は11倍になりました。なんと1兆3000億円。4人家族で200万円の借金です。そして、今の府政はどうか、失業率の悪化は全国47都道府県の中で、最悪。日本一であります。パートやアルバイトなど不安定な働き方を強いられている割合も全国で最悪であります。事業所の減少率も全国トップクラス。これでみなさん何が活力でしょうか。声を枯らして演説しても反応が悪いのは当たり前であります。
みなさん、「こんな府政はごめんだ」の1票、衣笠さんへの1票で府民から活力を奪った府政に今度こそ終わりを告げようじゃありませんか。
「土日に開店の努力せよ」。府民の痛みわかってない
2つ目に論戦を通じてはっきりしたこと。それは、今の知事が府民の痛みがまったくわからない人であり、こんな府政が続けば府民のくらし福祉、医療はますます大変になる。このことがはっきりいたしました。先ほど私は、京都の事業所の減少率が全国トップクラスだと言いました。ご商売をされているみなさんは、いつ自分も店を閉めなければならないかわからない、大変なご苦労をされています。ところが今の知事は、大型店ラッシュに苦しむ商店のみなさんに、努力が足りない、お客さんが来ないから土曜日、日曜日に店を閉めているのに、土日も店を開けなさい、そう平気で言ってのける人物です。
京都は伝統産業、和装産業の街であります。ところが3万人もの人がたずさわっている伝統産業や和装産業の予算は半分に減らしました。その一方で大企業に対しては、本社や工場を京都に移すだけで、府民の雇用が1人も増えなくても1社最高20億円の補助金を出してやる。大企業に対してだけは、みなさんの税金大盤ぶるまいであります。
府立洛東病院の廃止問題はマスコミでも大きく取り上げられました。大問題です。1300人の患者さんが追い出されました。今の知事は何と言ったか、「タクシーに乗って府立医大に行けばいい」。何と冷たい言い方か。しかも、府立医大にリハビリ施設を整備するのは6年後、7年後なんです。今、府立医大に行ってもリハビリの設備は一切ないんです。それをタクシーに乗ったら5分でいけるじゃないか、何と府民の気持ちが解からない知事か。
大型開発や無駄をなくす問題はどうでしょうか。京都市内の高速道路や舞鶴の和田埠頭。和田埠頭建設費はおよそ500億円かかる。船が来ないといって、自民党の府会議員が嘆く始末です。ところが、今さらやめられない、これからも続けていくと言い放ちました。
子どもの医療費助成の拡充明らかにせず
自治体にとって1番大事な仕事、府民の切実な要求に対しては、今の知事の態度どうでしょうか。出生率が全国ワースト2位、子どもを生み育てにくい。その中で子どもの医療費助成を拡充して欲しい。こういう願いが大変強い。これに対して今の知事は、口では拡充すると言いながら、この選挙戦の中でいつまでに拡充するのか、どう拡充するのか、一切明らかにしませんでした。
国保料、介護保険料の負担の軽減、これも拒否したままです。国保証の取り上げがこの4年間で13000世帯から29000世帯、2・2倍にふくれあがったのに、一言も語ろうとしない、語れないんです、保険料を払えない人から国保証を取り上げるという通達まで出した全国でもまれな知事であります。
今の京都府政に足りないのは、お金ではなくて、府民のこころを思いやるあたたかい心ではないでしょうか。そんなに府民のための仕事をやる気がないのなら、衣笠さんに替わってもらおうじゃないですか。
子育て日本一をはじめ、府民の願いを真正面にかかげる衣笠さん、税金の使い方を変えれば実現できると訴える衣笠さんに知事になってもらい、府民と心のかよいあう、暖かい府政をご一緒につくろうではありませんか。
どこよりも九条を大切にしてきた京都
最後に、茂山さんもおっしゃいましたが、どうしても訴えたいことがあります。それは、憲法と平和の問題です。今、自民党や公明党、民主党などが、憲法9条を変えて、日本が再び海外で戦争できる国にしようと考えています。先日私は、親しくさせていただいているエッセイストの海老名香葉子さんが中心になって東京大空襲の犠牲者を慰霊する碑「悲しみの東京大空襲」の1周年を迎えての記念式典があって、招かれて行ってきました。
海老名さんは、みなさんもご存知だと思うんですが、61年前の東京大空襲、3月10日、6人の親族、家族を亡くされました。おじいさん、おばあさん、おとうさん、お母さん、そして兄弟二人の6人の家族を一度に亡くされた。そのころ海老名さんは、小学校5年生くらいで沼津に疎開しておられたんですけど、沼津の山の上から東京の方角の空を眺めると赤く染まっていた。私の大切なものが全部燃えてもいいから、せめて家族の命だけは助かって欲しい。地面に額をすりつけながら拝まれたそうです。しかし、全部なくなりました。
海老名さんは、それ以来、結婚したら林家三平さんとともに、子どもが生まれたら子どもの手を引いて、孫ができたら孫を抱いて、毎年一回も欠かさずに毎年3月10日、東京大空襲の日には東京墨田区の自分の家の焼跡に立たれます。そして、日本中に2度と再び、あんな戦争は繰り返してはならないという誓いたてられるそうであります。
みなさん、憲法9条には日本中におられる無数の海老名さん、そして多くの犠牲者の無念の思いが込められていると思います。そしてその思いを受け継いだ草の根で憲法9条を守ろうという人々、中でもこの京都は、「憲法を暮らしの中に生かそう」の垂れ幕が府庁の正面玄関に掲げられていました。28年間も知事としてがんばって来られた蜷川さん、先日亡くなられた寿岳章子さんなど多くの府民によって憲法が、日本のどの町より大切にされてきた歴史と伝統のある都であり、この街で憲法を守る草の根からの運動を支え、担ってこられたのが衣笠さんです。
だから衣笠さんには京都の各界各層の皆さんだけではなくて、作家の井上ひさしさん、山田洋次さん、あるいは澤地久枝さん、そして元民主党の参院議員だった大橋巨泉さんなど京都だけではなく全国の幅広い特別の期待が寄せられているんです。みなさん、この期待に応えようではありませんか。衣笠知事の実現で日本と世界の宝、憲法の精神を花開かせようではありませんか。
中身はがたがたの「反府民、弱肉強食」連合
最後に自民党、公明党、民主党などのオール与党が支え、推進してきた今の府政、政党の頭数だけ見ると相手の方が多いように見えます。しかし、その中身は、がたがた、メロメロであります。自民党の元幹事長、野中広務さんが、こういう演説を先日されました。「耐震偽装問題、防衛庁の談合問題、外交問題など小泉政治の下で国民からかけ離れた政治が行われている。小泉さんは、人の心、人の思いが解からない政治家、今の自民党はなってない。民主党もニセメール問題で政党の信頼を失墜させた。こういう厳しい状況の下で知事選挙が戦われている」。こう演説しました。野中さんと私は、政治的な立場は根本的に違います。しかし、この演説だけは同感であります。みなさんも同じお気持ちではないでしょうか。小泉改革の破たんが、今ほど国民の前に解かりやすく、はっきりしてきた時はありません。
そして、二大政党のもう1つの党、民主党は、国会では頭を下げて謝ってばっかり、逆イナバウアーという言葉が国会中にはやりにはやっています。もちろんマスコミは、今やニセメール問題を忘れたかのように、小沢さんか菅さんか、毎日毎日、民主党の応援団のような報道ぶりですが、相手はがたがた、メロメロであります。こんな勢力に担がれているのが、今の現職候補、まともな政治を願う私たちとは全くかけ離れた反府民連合、弱肉強食連合であることが明らかではないでしょうか。
党派を超えた府民と日本共産党の団結共同で
それでは、今の府政を府民本位に変える力はいったいどこにあるのか。それは、京都府民の中にある。そう思います。主権者は、1人ひとりの府民です。みなさんの1票で政治は変わります。
基地と共存し続けてきた従順な市民と言われてきた岩国市民があの住民投票で投票したおよそ9割の人がこれ以上の基地強化はごめんだと意思をみごとに示して、アメリカと日本政府を窮地に追い込んだではありませんか。
どの党を支持している人でも無党派の人でも、あたり前の人間らしい暮らしがしたい。平和な世の中であって欲しい。そう願っておられるみなさん、そういう党派を超えた広範な府民のみなさんと国の政治でも地方でどんな問題でも府民の立場に立って悪政と立ち向かい、暮らしと平和を守るために奮闘する日本共産党、広範な党派を超えた府民と日本共産党の団結共同。ここにこそ冷たい官僚府政をあったか府政に変える、本当の確かな力があるんではないでしょうか。
京町衆の心意気発揮して
季節は春です、今度は、みなさん京町衆の心意気と良識を発揮して政治の春を一緒に呼ぼうではありませんか。残された三日間、ありったけの力を発揮して、もうふたまわり、みまわり、よまわり広い支持の輪を広げに広げぬいて、衣笠洋子知事実現のために頑張りぬこうではありませんか。
そして広範な府民のみなさんのご支援、ご支持、重ねて心からお願い申し上げて私の訴えてとさせていただきます。寒い中を長時間ありがとうございました。