平和憲法と歴史認識考える 伏見でシンポ
「平和憲法と歴史認識を考える」シンポジウムが7日、伏見区の呉竹文化センターで開催され70人が参加しました。主催は結成4周年を迎えた「京都伏見中小業者九条の会」と「憲法9条で21世紀に平和を創る伏見共同シンポジウム実行委員会」。
オープニングでは伏見30石船遊覧などで知られる龍馬商店街の龍馬会館館長の南条良夫さん(80)が、戦時中、京都駅で出征兵士を見送る際に仲間と小さな声で歌ったというシャンソンの思い出を語り、当時歌った淡谷のりこの「人の気も知らないで」や「雪が降る」などを披露。静かな美声に会場から涙する人もいました。
中小業者の会の代表世話人吉江達郎さんは開会あいさつで、国民投票法がごり押しされたことに対し、シンポジウムや『日本の青空』の上映会などに取り組んできたことを紹介。「改憲論議は一見静かなようですが田母神発言など危ない動きもあり、この伏見で憲法9条を守るうねりと力をつくっていくことが今大切」と強調しました。
シンポジウムは「問われる私たちの歴史認識…田母神発言は何を意味するのか」と題して、立命館大学名誉教授の岩井忠熊氏、丹波マンガン記念館の李龍植館長、元陸軍情報将校の人見潤介さん、元京都ノートルダム女子大学の中川慶子教授をパネラーに南法律事務所の岩佐英夫弁護士がコーディネーターを担当しました。
岩井さんはウソと歪曲でかためた田母神論文を歴史的事実で論破し、政治的背景や危険な役割を指摘しました。李さんは朝鮮から京都へ約3000人が強制連行され、丹波地方の約300のマンガン鉱山で厳しい労働を強いられ、その一人が李さんの父で後世に伝えるために苦労して記念館を開設した経過を話しました。
さらに強制連行について日本政府は補償どころか謝罪すらしていないと批判。「朝鮮侵略でない」との田母神発言について70%の国土を取り上げ侵し、食料を略奪したことは文字通り侵略だと糾弾しました。
人見さんは旧満州やフィリピンでの戦争体験をのべました。中川さんは「従軍慰安婦」問題で自民党や民主党の議員らが強制などはなかったとワシントンポストに意見広告を掲載したり、フィリピン現地を訪ね証言を得たことを紹介。「一片の反省も謝罪もせず固執しつづけ国際的にも批判を受けている」とのべ、女性の名誉と尊厳にかかわる今日的問題に積極的に取り組む必要があると発言しました。(仲野良典)