奈良時代から現代まで西国と東国を結ぶ重要な結節点であった千古の町、大山崎町は今桜が満開期にむかえています。特に天下分け目の戦いで有名な天王山の山麓には奈良時代からの数多くの名刹寺社の桜には堪能します。
 そのうちのいくつかを紹介しましょう。まずは桜の名所として知られている観音寺(かんのんじ)は平安時代に寛平法王(かんぴょうほうおう=宇多天皇)が開基し江戸期に木食以空(もくじきいくう)によって中興開山されました。聖天堂に祠られている歓喜天は山崎の聖天さんとして知られ、正面参道の斜面には何十本ものソメイヨシノが満開になっており、何重もの急勾配の階段を登って境内に入ると大きいソメイヨシノが目いっぱいに映えています。
 奈良時代に僧行基が開創したと伝えられ、秀吉も一時陣所とした宝積寺(ほうしゃくじ=宝寺とも言い、鎌倉時代の仏像など多くの重要文化財があります)の境内の桜は艶やです。特に重要文化財の三重の塔前のソメイヨシノは一段と引き立っています。境内には嵯峨から移植されたシダレザクラも赤紫の花をいっぱいつけています。
 宝積寺の北隣が大正から昭和にかけて実業家加賀正太郎が建造した大山崎山荘(現在はアサヒビール大山崎山荘美術館)はイギリス風建築で和洋折衷の園庭のソメイヨシノやシダレザクラが満開。広い庭園の桜の下で弁当を広げる人たちでにぎわっています。
 天王山の小高いところにあり登山口でもある観音寺、宝積寺や美術館からは、桂川・宇治川・木津川の三川合流地点が現下に見え、対岸の男山を望む雄大な景観、合流点の背割り公園には数キロメートルもの満開になった桜の帯が横たわっている風景は絶景です。花見客のみなさんも「スゴーイ!」「みてみてあそこのピンク色の帯び」「背割り公園の桜があんなに!」と感動の声です。(仲野良典)

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桜スポットDATA
  • 住所:京都府乙訓郡大山崎町大山崎白味才(観音寺、聖天堂)
    京都府乙訓郡大山崎町銭原1(宝積寺)
    京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字銭原5-3(大山崎山荘美術館)
  • 交通:いずれも阪急京都線「大山崎」下車・JR東海道線「山崎」下車徒歩5~15分
  • 開花状況:
  • 品種:ソメイヨシノ、しだれ桜 ほか