京都、奈良、大阪、和歌山の自衛隊基地をめぐる 田中三郎レポート(4)
関西6府県の安保破棄実行委員会は、昨年に引き続き、「関西基地めぐり・南東コース」をよびかけ、11日12日に実施し、約50人が参加しました。今回は、京都、奈良、大阪、和歌山の自衛隊基地をめぐり、基地の実態を目の当たりにする行程でした。
1日目は、京都府宇治市に置かれている「陸上自衛隊、大久保基地」から始まり、京都府相楽郡精華町の「陸上自衛隊、祝園弾薬庫」とまわり、続いて、奈良市法華寺町の「航空自衛隊、幹部候補生学校」、そして、大阪へと移動しました。
大阪は、八尾市「陸上自衛隊、八尾航空隊」から、和泉市「陸上自衛隊、第37普通科連隊・信太山駐屯地」をめぐる行程でした。
2日目は、和歌山県の2つの基地をまわりました。海上自衛隊、由良基地分遣隊(和歌山日高郡由良町)と、陸上自衛隊和歌山駐屯地「第304水際(すいさい)障害中隊」(日高郡美浜町)です。水際障害中隊とは、海岸近くの海の底や海中に「機雷」を敷設する部隊で、所属が海上自衛隊ではなくて陸上自衛隊であり、全国で4ヶ所に配置されているという「何か変な部隊」です。
基地めぐりの一行が初めに訪れたのは、京都の南部の地域で、「陸上自衛隊、大久保基地」と「祝園支処」です。大久保基地は、愛知県から山口県、四国地方(2府19県)までをエリアとする陸上自衛隊、中部方面隊の「施設部隊」の中枢である「第4施設団」の本拠地です。陸上で戦争するためのあらゆる物資・機材、武器・弾薬、陣地構築・渡河訓練などの配備・調整を引き受ける部隊と言われています。物品等の調達は、「宇治駐屯地」(京都府宇治市五ヶ庄)で、20万点を超える資材の管理を行う関西補給処の本処。また、京都市南区に所在する、「関西補給処桂支処」は、戦車や車両、武器などの点検整備を行い、そして巨大な弾薬庫である「関西補給処祝園弾薬支処」(京都府相楽郡精華町)へと連なっています。まさに京都の南部は、陸上自衛隊の「後方支援(兵站部隊)」の要衝となっています。
各基地は「桜満開」の静かな装いでしたが、陸上自衛隊は「どこで、どのような戦争を想定しているのか」「こんな広い土地があれば、経済的なもの、学術・文化の形成などに大きな貢献が可能ではないか」との声がでていました。
大久保基地からは、初めての海外派兵としてカンボジア(1992年)へ、そして、イラクへの派兵(2005年)も強行されています。
宇治市の隣の城陽市「長池演習場」で、最近、大音響を発する「爆破訓練」が強行され、住民から不安と怒りの声がでましたが、各地からの迅速な抗議で、「中止」させた経験が、基地めぐりに参加された宇治の市会議員から報告がされました。
京奈和自動車道にて、奈良に入ってすぐに、「航空自衛隊、幹部候補生学校」(奈良市法華寺町)があります。正門に到着するとすぐさま、門から自衛官が対応して「同学校の案内パンフレット」が手渡されました。事前の申し入れで、隊内に入り、説明を求めていたものの拒否の回答でパンフレットを配布されることになった模様でした。このパンフレットには、「本校は、奈良市内の北部旧法華寺領内にあり、平城宮跡北東の宇和奈辺(うわなべ)、小奈辺(こなべ)の両古墳に接し、古代からの天平(てんぴょう)への歴史を伝える多くの史跡に囲まれた日本人としての感性の陶冶(とうや)、武人としての修練の場に相応しい環境にあります」と書いています。
基地は、2つの古墳とともに「磐之媛命陵(いわのひめのみことりょう)」の墳墓が隣接し、残りは国道24号線に囲まれた所となっています。緑と池、古墳に囲まれた自然豊かな環境のなかで「幹部自衛官」が「育てられている」ようですが、中身が問題ですね。「平和やいのちの大切さを憲法9条から教えて欲しい」と願うばかりです。
同基地は、数年前から「基地祭」が行われる際に、浜松基地などから「ブルーインパルス」や戦闘機などが動員され、式典とともに「展示飛行」が強行されています。琵琶湖から京都南部に進入し低空飛行で「爆音」を轟かせ大問題になっています。この問題でも中止を求める運動が始まっています。(田中三郎)