自分の実感から、しなやかな京言葉で反戦平和を語った 岡部伊都子さん
平和、人権について書き続け、昨年4月に85歳で亡くなった随筆家、岡部伊都子さん(京都市在住)の一周忌に当たり、無言館館主の窪島誠一郎さん、岡部さんの新聞連載の挿絵を担当した洋画家・池田良則さん、生前親交の深かった文芸評論家・尾形明子さんによる座談会が16日、京都市北区の立命館大学国際平和ミュージアムで開催されました。岡部さんの平和への思いや人柄、生き方などを語り合い、会場いっぱいの市民ら230人が聴き入りました。 同館で開催されている「岡部伊都子回顧」展の記念講演として開かれたものです。
尾形さんは、「どんな差別も許さず権力も恐れず、ささいな言葉使いも粗雑にしなかった。平和への思いをはじめ全て、自分の実感から出たもの」と話しました。
池田さんは、「沖縄取材のとき、ある著名な人が『朝鮮征伐』と言った時、岡部さんの顔色が変わるのを見たことがある。どれをとっても単なる口先だけではない、言葉の裏に信念があった。ていねいに生きてきた人」と語りました。
窪島さんは、「沖縄に行き、戦死した婚約者の碑の前で涙したと聞く。自分には戦争を語る資格があるのか、自分の立ち位置の切なさや無力さからではなかったか。平和、戦争、様々な深刻な問題を自分の肉声で語り、しなやかな京言葉で書いた人だ。反戦平和を単なるスローガンに終わらせない、絶妙の文章力があった」と話しました。
回顧展は31日まで。