暴力・虐待許せない、丹波ナチュラルスクール 元入所者が提訴
暴行や虐待事件を起こした京丹波町のフリースクール「丹波ナチュラルスクール」の問題で、暴行・虐待を受けた元入所者の男性(20)=東京都=と父親(60)が9日、元経営者の朴聖烈被告(61)=逮捕監禁罪などで公判中=ら関係者8人に約5200万円の慰謝料や損害賠償を求め、京都地裁園部支部に訴えを起こしました。
訴状では、男性(当時16歳)が2年間で受けた暴力・虐待や強制労働させられた様子が詳細に描かれ、暴力行為の損害賠償や強制労働の賃金、高額な入所料の返還などを求めています。
原告の父親と男性は2005年、「自然の中で社会復帰できる」「全寮制で高校に行ける」などと書かれた同施設のホームページなどを見て、同スクールに入所。父親は入所時に250万円、月謝など総額で690万円を支払わされました。
入所の際には被告男性ら4人が押しかけ、原告男性は手錠をかけられ、車に長時間押し込められて同施設に連れて行かれました。
施設内では、毎日のように警棒で殴る、壁に向かって一日中立ち続けさせられるなどの暴行が行われ、電気製品の組み立て、段ボールの組み立てや農作業などの労働を強制させられました。食事は、被告の娘らが経営するコンビニの消費期限切れ弁当やカップラーメンのみで、風呂は1週間に1、2回でした。
原告男性は何度も逃亡しようとしますが、取り押さえられて暴行を加えられました。07年、男性は3度目の逃亡で、施設から逃げ出し、自宅に戻ることができました。
原告の男性は、「地獄のような2年1カ月の生活をさせられ、そのために大きく心の傷を受け、いまだに立ち直ることができません。(被告が)このような犯罪によって得た大金をいまだに持っていることは許せません。その資産のすべてをもって償ってほしい」と述べています。