自立支援法訴訟 障害者自立支援法で、福祉や医療サービスを利用するのに原則1割の利用料負担を課すのは違憲・違法として、府内の障害当事者が国と地方自治体に負担廃止などを求めた訴訟の第4回口頭弁論が16日、京都地裁(瀧華聡之裁判長)でありました。弁論で被告の国側は、「応能負担を基本とする制度への見直しを検討している」としてこれまでの争う姿勢を転換する方針を示しました。
 国側の代理人は、「連立政権の合意で応益負担から応能負担を基本にする見直しを検討している。今後の訴訟進行にあたって猶予をいただきたい」と述べ、次回の口頭弁論は来年2月15日(午後1時半、101号法廷)となりました。全国14地裁で行なわれている自立支援法訴訟をめぐっては、長妻厚労相が同法廃止や訴訟対応の見直しを明言し、国側は各地裁で同様の方針を示しています。
 この日の弁論では、中川道代さん、栗山達也さん両原告と原告・田中亨さんの母親・美佐子さんがそれぞれ意見陳述。中川さんは、「作業所で働くことの喜びや友達の温かさ、親の思いを自立支援法はかき消してしまう。利用料負担をなくしてください」と訴えました。田中さんは、「『障害はマイナスじゃない』と一生懸命伝えようとしているのに、国は障害を自己責任にする法律を作ってしまい、くやしくてならない」とのべ、栗山さんは、「グループホームの家賃や作業所、ヘルパーの利用料とお金がたくさん必要となり、このままでは不安で生活できない。1日も早く自立支援法がなくなってほしい」と語りました。弁護団の藤井豊弁護士が、憲法13条、14条、25条の各条から応益負担の違憲性について主張しました。
 弁論終了後、京都弁護士会館で報告集会が開かれ、府内各地の支援者ら90人が参加。国の方針転換について、弁護団の佐野就平弁護士は、「政権交代を理由にしているが、厚労省と法務省の責任を認めたくないからではないか。国側は猶予を求めているが、たたかいの手を緩めず裁判を進めていきたい」と強調しました。