京都総評(岩橋祐治議長)は6日、消費税増税に反対する世論を広げようと緊急アピールを発表しました。
 アピールの全文は次の通りです。


 消費税増税が当面の政治課題の熱い焦点にのぼっています。
  菅首相は「超党派での本格的な論議」、「(消費税率は)自民党が提案している10%を参考に」と述べ、2010年度末までに税制関連法案をまとめ、2012年度以降に実施しようとしていることも明らかになっています。参院選挙を過ぎれば、あとは「白紙委任」とばかりに、消費増税の具体化に入ろうとしていることは重大で、オール増税国会化を許すわけにはいきません。消費税10%ともなると、4人世帯で年間16万円の増税、34万円もの消費税をとられることになるとの試算(第一生命経済研究所)があるように、労働者、国民にとって、1ヶ月の賃金が吹き飛ぶほどの負担となることは明らかで、低所得者ほど影響は甚大です。
 私たちは、以下の点で、消費税増税を断じて容認できません。
 第一に、消費税増税が、地域経済や労働者の暮らしを直撃し、深刻な経済破綻を生む引き金になることです。橋本内閣当時に消費税を5%まで引き上げたことが、消費を冷やし、経済を失速させ、今日のゆがんだ経済と国の財政問題を発生させたという経過があります。この間、私たちは、住宅改修助成など、地域経済の活性化のために、自治体の制度や予算の発動を求めてきましたが、消費税増税の下では、そもそもの住宅建設など消費活動が止まってしまい、それでなくとも深刻な景気に冷や水をかけ、労働者の暮らしも、業者・中小企業をも直撃し、地域経済を破綻させるものとなります。 経済の活性化のためには、労働者の消費購買力を引き上げることが急務であり、そのために、最低賃金を抜本的に改善することが議論の遡上にのぼっています。また、暮らしと福祉を支援する、公的な医療費の助成や教育費への支援の拡充も、具体化がすすんできました。同時に、地域経済を支えてきた中小零細企業を支援し、仕事を興す努力もはじまっています。消費を直撃する消費税増税は、これらの対策・努力への逆行であり、あまりにも愚策であると言わねばなりません。
 また、デフレスパイラルの克服と言う点からも逆行です。増税分を商品価格にそのまま転嫁できる大企業は消費税を1円も負担しなくて済みますが、それが出来ない中小零細企業・事業者は、消費税率引き上げが価格に及び、競争に負け、経営を直撃することは必至です。結果、大企業のひとり勝ちと、中小零細企業の衰退、経済活動の縮小がすすみ、デフレスパイラルが新たに促進することにしかなりません。労働者の暮らしを守り、経済の健全発展をつくる上で、消費税増税は断じて認められないものです。
 第二に、国の「財政再建」を理由にしますが、その方法がまちがっているからです。消費に冷や水をかける消費税では、経済活動が縮小し、結局は税収そのものが減ります。介護充実の財源とも主張していますが、介護保険・利用料の高負担にさらに二重に税負担することとなり、いっそう介護が使えない国民を多数生むことになります。これこそ、大企業や高額所得者の負担によって、社会保障が求められる国民を救済・支援する保障制度とせねばならず、新たな国民負担は社会保障の本来の役割からの逆行です。国の財源というのであれば、米軍への「思いやり予算」や軍事費、無駄な公共投資こそ「仕分け」・削減すべきであり、高額所得者の負担を適切にすること、大企業優遇税制・減税を改めることで、財源を確保するべきです。
 第三に、とりわけ、労働者と中小・下請け企業の犠牲で富を集積した財界・大企業を優遇してきた減税措置を公正な負担へ戻すことです。下請けの消費税負担を転嫁させながら、商品を輸出する大企業には「輸出戻し税」が還付されているなど、政府によって数々の優遇措置を打たれており、実効税率が40%を大きく割り込む他国にない優遇ぶりです。また三菱東京UFJ銀行などのメガバンクは、この数年、不良債権処理を口実に、1円の税金も払っていません。いま、日本経団連は、この上さらに、消費税増税と一体に法人税減税を求めており(新成長戦略2010)、これに沿って、菅政権の経済産業相が、25%への法人減税を発言しました。これでは、消費税増税分の大方が法人減税への手当となってしまいます。私たちは、大企業の社会的責任を果たさせる点からも、「税制改革」というならば、大企業に対しての減税・優遇措置をふさぐこと、国民の食料品や衣料など生活必需品の消費税はこれを廃止することこそ手当をすべきです。さかんにギリシャのように財政破綻すると首相は言いますが、逆に、財政破綻した引き金のひとつが消費税増税と法人税引き下げであったことを見ても、その路線をすすむわけにはいきません。
 労働者の暮らしにも、地域経済にも、国の財政再建にも、「百害あって一利なし」の消費税増税です。「消費税増税は許さない」「大企業優遇税制の是正こそ」といった声を職場と地域に広げましょう。
 参院選挙はいよいよ11日投票となっていますが、消費税増税反対の審判を下さなければなりません。職場で議論・対話を盛り上げ、消費税増税反対の投票にこぞって参加しましょう。