関西広域連合案の採決強行に抗議 府職労連が「声明」
京都府職員労働組合連合執行委員会は12日、関西広域連合設立案の採決強行に抗議する「声明」を発表しました。全文は以下の通り。
10月8日、9月府議会が閉会しました。
9月府議会では、財界が究極の「構造改革」と位置づけた道州制への一里塚となるねらいをもった関西広域連合への参加を決める規約案と広域連合への支出金を含む補正予算をめぐって、論戦が行われてきました。
府議会では、この問題を審議する特別委員会で、危惧と異論が噴出。当初予定になかった7日に持ち越して審議するという異例の事態になりましたが、与党会派の賛成多数で原案が可決されました。府議会でも、府民的にも審議が尽くされず採決されたことは極めて重大です。
一方、関西広域連合設立案に係る付帯決議は「住民にとって理解しやすくするため・・・説明責任を果たすこと」「必要に応じ規約の追加・修正を行うこと」「構成団体から入会、脱会の意思が示された場合には速やかに手続きを行うことなど構成団体の意思を尊重した運営に努めること」「関西広域連合は道州制に転化するものでないことをあらためて確認するとともに、道州制をめざすための運動に資することのないように留意すること。特定分野あるいは特定団体の利益を代表するような広域連合協議会は設置しないこと」など私たちが問題提起したことも含め、極めて矛盾に満ちたものになりました。
私たちは、知事及び議会各会派に拙速な提案、議決を行わないこと、同時に道州制につながるものではないか等の6点の疑問・質問を明らかにし、まず説明責任の果たすことを求めてきました。
府議会での論戦や私たちの要請などを通じ明らかになったことは、あらためて府民不在ですすめられたことです。世論誘導ともうけとられかねない懸賞をつけた意見募集でさえも100程度しか集まらなかったことを見ても、ほとんど周知されていないことは明らかです。私たちが指摘した、道州制につながる危惧、屋上屋を架すこと、年数回で、しかも限られた議員数で議会が充分な役割を果たせないのではないかということ、協議会に経済団体も含むとしたことなどが、与党会派も含め疑問や危惧として出されました。とくに道州制につながるものでないという点は、与党会派、知事も含め一致した到達点となっている点は重要です。関西財界や橋下大阪府知事が、関西広域連合を、明確に道州制へのステップとして位置づけている点で、京都府知事の姿勢が問われることは明らかです。
関西広域連合は大きな矛盾をスタートから抱えることになり、これからのたたかいが重要です。今年6月の滋賀県の県民意識調査では、道州制に反対30.9、賛成13.2%と反対が大きく上回っています。関西広域連合に参加を表明していない西川福井県知事は毎日新聞で「道州制論の根本は大都市を中心に勢力範囲を広げる拡張的思考。福井のような周辺部に位置する住民の民意が反映されにくいシステムになる。国民の圧倒的大多数が愛着を感じている現在の府県制は民主主義の土台だ」と発言しています。奈良県の荒井知事は9月県議会で「県から上位団体である広域連合へ権限移譲することになれば、それは分権でなく集権。…今後、大きな権限が広域連合に移っていくことになれば、それは地方自治、地方分権の考え方に反しているように思えます。」と答弁しています。こうした発言や動きは、今後の地方自治を守り発展させるたたかいのよりどころになるものです。
府職労連は、10月15日に関西広域連合を考える講演会を、組合員はじめ管理職の皆さん、府立大学の研究者の方々にもよびかけ、立場の違いを超えて、京都府と地方自治の将来を考えるとりくみとして開催します。また、府民にこの問題を明らかにすることが重要であると考えており、宣伝を強めていきます。
私たちは、「地域主権改革」の名による構造改革路線の継続、強化がすすめられているもとで、憲法にもとづく地方自治を守り発展させるとりくみをさらにすすめるものです。