京都市に雇用対策実施させる

 「労働行政は国と府の仕事」│国の非正規雇用推進の労働行政を容認し、何の雇用対策も取ってこなかった京都市に対し、「本市は非正規雇用の割合が高く、しかも半数は20代の青年。青年の使い捨てを許さない雇用対策を」と繰り返し市議会で追及してきた日本共産党。青年らと雇用の実態調査に取り組み、運動を広げる中、京都市政を大きく動かしています。

5年ごしの要求が実る

 「京都市に雇用対策担当部長ができたよ」。08年3月28日、日本共産党の加藤あい市議の弾んだ声が、民青同盟京都府委員会の電話に届きました。
 「やった!僕らの長年の取り組みが実現したんや。政治を動かしたね」
 この日、市は翌4月から、青年を中心にした雇用対策を所管する担当部長を設置すると発表。このニュースに、事務所は喜びの声があふれました。電話口の加藤市議も5年越しの要求が実ったうれしさをかみしめました。
 03年9月議会本会議。質問に立った加藤あい市議。当時27歳。傍聴席には、同年代の若者が並びました。自身が聞き取った青年の長時間労働や低賃金の実態を示し、市に対策を求めました。これが、同市議会史上初の青年雇用問題の質問でした。
 以後、同党市議団は繰り返しこの問題を取り上げ続けました。
 京都の青年の雇用状況は厳しく、政令市でパート・アルバイト比率が最も高く(25.8%)、20代前半の2人に1人が非正規雇用。青年の雇用対策は急務でした。
 労働者派遣法の規制強化を国に要請するとともに、仙台市など7市が「雇用対策本部」を設置し、青年雇用対策を行っている事実を示し、市に対策本部や窓口の設置を要請してきました。
 これに対して、市は一貫して、「労働行政は国と府の仕事」として、事実上国の非正規雇用拡大路線を容認し、何ら対策を取りませんでした。

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アンケートが市動かす

 この姿勢を変えさせたのが06年、同党市議団が府議団や民青同盟京都府委員会と共同で取り組んだ「青年雇用実態調査」アンケートです。
 市議団は街頭でアンケートに取り組むとともに、ハローワークや労働基準監督署、青少年活動センターなどを相ついで訪問し、実情を調査。1000人分の声を集め、青年が「使い捨て」にされる実態を毎議会で示しながら対策を追及しました。
 京都の雇用情勢が悪化の一途をたどる中、自民、民主、公明の各党の質問は国の非正規雇用拡大路線への批判は一切なく、市の雇用対策をただ尋ねるだけ。青年らの運動と結んで現場の生の声を取り上げた日本共産党の論戦は、独壇場になりました。
 こうしたもと、市は08年3月、前述の雇用担当部長を置くと発表したのです。
 担当部長の設置は、雇用の実態調査や雇用対策促進を求める請願を提出してきた民青同盟府委員会が毎年、市と懇談するという画期的な成果を生みました。
 また、厳しい雇用情勢を受け、各都道府県の労働局に、雇用対策本部が設置されていますが、京都では全国で唯一、同本部に、市の雇用担当部長が参加し、市がつかんだ雇用実態が国の機関に反映できるしくみができました。青年の実情が市を通じて分かることから、京都の労働局や府から歓迎されていると同部長は語ります。

国まで行かなくても

 青年雇用アンケートに取り組んできた河田杏子さん(31)は、当時を振り返り、こう語ります。
 「残業代も出ないのに、長時間労働を強いる職場がいやになって退職したときでした。数十人の仲間と夜行バスで東京まで行って、厚生労働省に私たちの声をぶつけてきました。国まで行かなくてもすぐそばの市で、雇用問題を扱ってくれ、労働局に伝わるなんて、うれしいですね」
 08年から始まった原油高による経済危機の際にも、同党市議団は大きな力を発揮しました。失業、派遣切りが大きな社会問題化し、「年越し」を控えた12月には、府議団と連携し、雇用対策本部の設置と臨時雇用対策の実施を求め、3次にわたる申し入れを実施しました。
 同年12月、市長を本部長にした「緊急経済・雇用・生活対策本部」が実現。失業しホームレスとなった人のための市営住宅の確保、簡易宿泊所の拡充、生活保護対策の拡大、488人を臨時雇用させるなど、次々と施策を実施させてきました。
 今年の9月議会本会議。円高で一層厳しさを増す雇用状況に、同党市議団は対策本部の設置や実態調査を要求。これに、市長の対応は機敏でした。
 質問の翌日、府知事と連名で、緊急雇用対策基金事業の継続や新たな支援制度創設などを求める要望を国に対して行いました。
 同本会議質問で、他党は雇用対策について一言も言及しない中、対比は鮮明です。(「週刊しんぶん京都民報」2010年10月24日付)