TPPは米国がアジアの経済統合の主導権を握ることを目的にしている
日本のTPP参加についての問題点を考える学習会が5日、京都市南区の京都府農協会館で開かれ、講演した京都大学大学院経済研究科の久野秀二教授は、「TPP(環太平洋経済連携協定)はアメリカがアジア地域の経済統合で自らの主導権を確保することを目的にしたものだ」とのべました。
農業・農協問題研究所京都支部が主催したもの。農業関係者や研究者、労働組合員らの参加者を前に、久野氏は「TPPを中心とした『自由貿易』の動きと国民の暮らし」と題して講演。久野氏は、TPPが昨年10月の菅首相の所信表明演説から急展開した背景について「アメリカが主導するWTOやFTAAなどの地域統合が行き詰まり、通商連携(ASEAN)で中国の存在感が増していることを警戒して、これにくさびを打ち込みたいという狙いがある」と指摘。また「日米同盟を強化し、日本を引きこむことでアジアへの影響力を高めたいという意図もある」とのべました。
さらに久野氏はTPP参加による国民生活への影響についても言及。農水省の影響試算をとりあげ、農業の主要19品目で生産減は毎年4・1兆円にのぼり、食糧自給率は40%から13%に減ることを指摘。またTPP参加は農業分野だけでなく医療や労働、金融など幅広い分野に関連することを示しました。
最後に久野氏はTPPは国民生活全体、国のあり方にかかわる大問題であり早急な世論換気が必要として、○あるべき日本の農と食のかたちと道筋を示し、そのための国民合意形成を図る○食料主権と公正な貿易システムを求めるグローバルな世論と運動に連帯する――運動を呼びかけました。