カワセミ 冬季の山科川には、ユリカモメやサギ類のほか、カワセミが毎日、ほぼ定時に同じ場所に出没し獲物を狙っています。岸辺にはカメラマニアが数人、三脚に望遠レンズを据えてカワセミの決定的瞬間をとらえて連続撮影をしています(写真は小魚を捕らえて小枝に戻った瞬間)。 
 カワセミ(ブッポウソウ目カワセミ科カワセミ属で英語はKingfisher)は頭、頬、背中・腰は鮮やかな青色(光の加減で緑色にも)、頭上は鱗のような模様、胸と胸と目の前後は橙色と外見がとても美しい小鳥で「空飛ぶ宝石」「渓流の宝石」とも呼ばれています。
 体長はスズメほどで、嘴(くちばし)が長く短足で小魚や小さな蟹が大好物。ほぼ同じ時間に川縁の小枝に止まり、獲物を見つけると急降下して捕らえます。
 同じ小枝に戻って、大きな獲物は足場でたたき殺してから飲み込み、小魚はそのまま頭から丸飲みし、しばらくして骨や鱗をペリットとして吐き出します。お腹がいっぱいになるまで何度も繰り返します。
 『野鳥の名前』(山と渓谷社刊)には、鳴き声の「ソビ」「セビ」から「セミ」になり水辺にいるから「カワセミ」と名付けられ(蝉とは無関係)、翡翠の翡はカワセミの雄、翠は雌で、本居宣長の『古事記伝』には、「曾比、少微、世美などは、みな蘇爾の訛れるなり」と解説があります。(仲野良典)