京都市議会2月定例会が15日、閉会したことを受け、日本共産党市議団(山中渡団長、19人)は、「2月定例市会を終えて」と題した声明を発表しました。
 声明の全文は以下の通り。


[声明]2月定例市会を終えて

日本共産党京都市会議員団

 1.3月11日、東日本一帯に巨大地震が発生し、史上最悪の被害をもたらしました。地震と津波で多くの人命が奪われ、沿岸の市町村は壊滅的な打撃を受けています。さらに福島原発の爆発が続いており、予断を許さない状況です。日本共産党市会議員団は、被災されたみなさんに心からお見舞い申し上げるとともに、犠牲となった方々に対し、哀悼の意を表します。政府に何よりも人命を第一にした対策を求めるものです。同時に、日本共産党として支援と復旧の活動に全力を挙げる決意です。
 1.本日、2月定例市会は2011年度一般会計予算など115議案を可決し、閉会しました。日本共産党京都市会議員団は、1400人の雇用を確保した雇用対策事業特別会計、議員提案の議員報酬1割削減や議員の費用弁償(日当)廃止など92議案に賛成しました。一方、市民サービスの後退と市民負担増、市職員リストラを強行し、過去最高の市債残高(臨時財政対策債を含む)を計上した一般会計予算、3年連続の国民健康保険料の値上げとなる国民健康保険事業特別会計予算、管理の受委託を進める市バス事業、料金値上げになる大宮交通公園条例、自転車等駐車場条例の一部改正や市立芸術大学の法人化を前提とした同大学の廃止条例など23件には反対しました。自民、民主・都みらい、公明はすべての議案に賛成しました。
 1.党議員団は市民の切実な願いの実現をめざし、論戦を行いました。子どもの医療費助成制度の拡充について、代表質問で「前向きに検討」との答弁を引き出し、委員会での質問に、「お母さん方の切実な声」と認め、「平成23年度中には、一定の方向を出していきたい」と、初めて時期も明言しました。
 また、議会改革の取り組みは、議員報酬の1割削減、費用弁償の廃止などが実現しました。引き続き議員報酬の3割削減、市会改革推進委員会の公開など、市民に開かれた議会の実現へ、いっそうの議会改革を進める決意です。
 さらに、市民の運動と議会の論戦で、要求実現の貴重な成果を生み出しました。政府が打ち切った緊急保証を補う中小企業に対する新たな融資制度の創設、市有地の活用も含めた保育所新・増設、木造住宅の簡易耐震改修助成制度の拡充、DV相談支援センターの開設などが予算に盛り込まれました。また、同和特別扱いだったコミュニティセンターを廃止し、4月からは市民に広く開放された「いきいき市民活動センター」に転換されました。長年続いた同和対策事業について来年度予算には全く計上していないとの答弁を引き出しました。水共生プランの取り組みの一貫として、住宅雨水浸透マス設置助成制度が創設され、バス停の上屋やベンチの増設などバス待ち環境の改善が前進しました。また、雪害対策について申し入れも行い、森林倒木に対する復旧対策の補助率を引き上げさせました。
 1.焦点となった国民健康保険特別会計予算では、平均保険料の「据え置き」との当局説明が、実際には半数以上は値上げであることを明らかにし、2年間の黒字分を示し、改めて保険料の引き下げを求めました。京都市は、累積赤字を理由に引き下げを拒否、子どもの学資保険まで差し押さえている事実が判明し、党議員団は直ちに差し押さえを中止するよう申し入れを行いました。住宅改修助成制度では、国の交付金が活用できると財源を示して実現を求めましたが、経済効果があることは否定できないものの、「個人の資産形成になるから」と拒みました。少人数学級の拡充についても、国が30年ぶりに学級編成基準を見直し、財政措置をしたにもかかわらず、いっさい拡充されませんでした。副市長は、「毎年10億円の削減を求めてきた」と教育予算を圧縮してきたことを認めました。また、空き缶抜き去り禁止条例の施行に当たって、具体的な支援策がないまま、ホームレスや生活困窮者を犯人扱いする人権無視の姿勢を厳しく批判しました。
 1.党議員団は、ムダ遣いや企業利益優先の開発の中止を求めました。試運転で基準の42倍を超えるダイオキシン類を発生させ、設計ミスや操作ミスが発覚した焼却灰溶融施設は、昨年12月には耐火物に亀裂が発覚し、現在も試運転開始のメドがたっていません。この施設の建設を推進してきた環境省も、「中止すれば、温室効果ガスの削減になる」との考えを示し、全国的にも廃止や休止の動きが広がっています。年間16億円の運転経費がかかる焼却灰溶融施設を稼動する根拠はありません。稼動中止で財源を福祉とくらしにまわすよう引き続き求めて奮闘します。
 また、梅小路公園の駐車場を、公園の付属施設から水族館の付属施設に変質させようとしていることも明らかにしました。岡崎地域の大幅な規制緩和を可能とする総合特区提案について、市民の声や検討会の意見も踏まえ、「公園内への宿泊施設や商業施設の誘致はすべきでない」と求め、市長から「岡崎地域内に宿泊施設は誘致しない」との答弁を引き出しました。
 1.党議員団は「国民健康保険に対する国庫負担の増額を求める」意見書を提案しましたが、自民、民主・都みらい、公明は、国民健康保険制度の抜本改革として一元化を求め、党議員団提案の意見書を否決しました。また、自民、民主・都みらい、公明が提案した「若者の雇用対策の更なる充実を求める意見書」には対案も示して、大企業の雇用削減こそ見直すべきと指摘し、賛成しました。その他に、「公共交通のバリアフリー化の更なる推進を求める」意見書、TPPに拙速に参加しないことを求める「我が国の農業振興に関する」意見書に賛成し可決しました。
 1.民主党政権は、地域主権改革の名の下に、地方自治体破壊を進めようとしています。京都市は、政府の動きを先取りするかのように、公的責任を後退させ、福祉を切り捨て、市民負担増を進めています。市長は、「関西広域連合は地方分権の突破口を開く」と広域連合に参加する意思を改めて表明するなど、地方自治をいっそう後退させる道州制をも容認しています。
 党議員団は、住民の福祉の向上に努めるという地方自治体本来の役割を発揮する市政への転換を目指して全力を尽くします。市民の苦難の解決、市民要求の実現へ、新たな議会でもその役割を大いに発揮して奮闘する決意です。