エネルギー政策講演会 日本共産党の吉井英勝衆院議員を招いて、福島第一原発の事故を受けて危険な原子力エネルギーに頼らないエネルギー政策を考える講演会が29日、京都市下京区で開かれました。日本共産党と民青同盟両京都府委員会が主催。
 廊下にまで人があふれる300人の聴衆を前に吉井氏は、福島第一原発の事故は、大地震と大津波による電源喪失で原子炉の冷却装置が作動しなくなり、炉心溶融が起きて大量の放射性物質が外部に漏れる深刻な事態に至ったものと説明。地震により高圧送電鉄塔が倒れて外部電源が失われることや、津波によりディーゼル発電機が動かなくなり内部電源も失われることなどの危険性を、市民団体や同氏が指摘していたにもかかわらず、自公、民主両政権が「真剣に受け止めて対策を行わなかった。まさに“人災”だ」と強調しました。
 また事故直後、東京電力がすぐさま海水注入などの対応をしなかったことを放置した政府の対応を、「原子炉規正法に基づいて首相は指示、命令できるのに、東京電力まかせの対応だった。これまでの震災対策も今回の対応も甘い。二重の“人災”だ」と批判。危機打開のために政府や東京電力がデータを公表し、専門家の英知を結集できるようにすべきと述べました。
 吉井氏は、電力会社は原発メーカー、素材メーカー、ゼネコン、メガバンクなどが多大な利益を得る「原発利益共同体」をつくり、政治家に献金してエネルギー政策をゆがめてきたと指摘。「政官財の癒着にメスを入れて国民の命を守る規制をすべき。再生・自然エネルギーは安全な上、太陽光、風力、水力などは地産地消でき、地域経済にも貢献するので普及すべき」と訴えました。
 京都工芸繊維大学に今年入学した学生(18)は、「原発に頼らないエネルギー政策が可能というのは初めて聞いた。もっと世の中のことを勉強して仲間と議論したい」と話していました。