安斎氏「東電に『隠すな、嘘つくな、過小評価するな』と求めていくべき」
佛教大学9条の会による「平和と安全を考える集い」が19日、京都市北区の佛教大学で行われ、安斎科学・平和事務所長の安斎育郎氏が「東電・福島原発事故をどう見るか」と題して講演しました。
330人の聴衆を前に安斎氏は、福島第1原発事故の現状について「いまだ危機的状況を脱しておらず、引き続き冷却を続けなければならない」と指摘。事故現場を直接見られないため、状況が正確にはつかめない困難さがあるとのべたうえで、「東京電力に『隠すな、嘘つくな、過小評価するな』ということを要求し、最悪の事態に備えて準備することが大事」と訴えました。
事故被害による福島県内の現状について話を進めた安齋氏は、避難区域の設定については「距離だけで同心円状に設定するのは合理的、科学的ではない。放射線量などの実態に即して決めるべきである」と指摘。放射線の人体への影響については「浴びれば浴びるほどがんになる確率が高まる。少量でも浴びないほうがいいが、過度に恐れず、科学的な知識を持って理性的な判断をすることが大事」と強調しました。
安齋氏は「電力を原発に依存し続けるのかがいいのかよく考えてほしい。生活をエネルギー節減型に変え、自然エネルギーへ転換し原発廃止に向かって進んでいく必要がある」とのべました。
学内で同「集い」の案内看板を見て参加したという学生(20)は、「原発は危険で問題が多いものだと思った。将来的に無くしたほうがいい。自分の生活もエネルギーを節約できるよう見直したい」と話しました。