似て非なる建物容認はできない

京都工芸繊維大学(近代建築史)松隈洋教授

 別の設計者による、似て非なる建物を新たに付け加える建て替え案は、到底容認できません。
 建物の外観を維持する改修案も検討されていたのに、経過は全く不透明で、有無を言わさない形で、市は計画を強行しようとしています。
 規制緩和と民間活力導入による高密度・高度利用の再開発をすすめる「岡崎総合特区」と京都会館の建て替えがセットになったことが、建物の高さ30メートルを超える、全面建て替え計画になったのではないでしょうか。
 日本建築学会が市に保存の要望書を提出しましたが、近年例のないことです。それだけ、歴史的価値のある建物です。優れた近代建築を保存しながら、内装は現代のニーズにあった改修を行う、京都会館がその先駆になってほしいと思います。建て替え案について、改めて市民や建築の専門家の意見を聞きくべきだと考えます。(「週刊しんぶん京都民報」2011年6月5日付