日本共産党京都府委員会は18日、笠井亮党原発・エネルギー問題対策委員会責任者(衆院議員)を迎えた講演会「原発からの撤退を~いまこそ政治決断を」を、京都市下京区の京都産業会館シルクホールと綾部市の市民センターの2カ所で開きました。同党が6月13日に発表した提言「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を―国民的討論と合意をよびかけます」の内容と、この間の運動の成果などを学ぶもので、京都市内で950人、綾部で380人が参加しました。会場での主な質疑・回答は次の通り。

再稼働中止で原発止まる?

原発講演会
 質問 「提言」では「5~10年以内を目標に原発から撤退する計画を策定する」とあるが、定期検査中の原発が再稼働できなければ来年春には全ての原発が止まることになり、それだけで原発ゼロが実現できるのでは?
 笠井 「とまる」ことと「やめる」ことは少し意味が異なります。仮に来年の春に全部とまったとしても、そこで終わりではなく原発にしがみつき利益を得ている勢力があきらめずに再稼動を狙ってくるでしょう。再稼動をめぐる攻防は続いていくものになると考えられます。また原発を日本に持ち込んだアメリカの利益とも絡み複雑な問題です。
 大事なことは再稼動を許さない運動を大いに広げるとともに、危険な原発から撤退する政治の決断をさせることです。世論と国民運動が大切です。5~10年以内は1つの目安で、早くなっても構わないのです。国民の知恵と力を合わせ一刻も早くという意味です。今すぐになくすと25%の電力を失う社会的リスク、火力発電による代替ではCO2の増加の問題などがあり、5~10年以内という提案にしました。まずは、この問題をどうするかという国民的な討論と合意をつくっていくのが一番大事だと考えています。

核の平和利用はありうる?

 質問 核の平和利用はありうるか?核の基礎研究を認めることとの関係は?
 笠井 日本共産党は反科学の立場ではありません。核エネルギーは1930年代に「第2の火の発見」といわれ、人類史の大発見の新しいエネルギーです。その巨大だが強烈な放射能つきのエネルギーを使いこなしコントロールできるかが、最初から大きな研究テーマとなってきました。
 ところがその研究が尽くされずに未完成で危険な膨大なエネルギーの利用だけがどんどん進んで、今回の事故につながったと思います。安全な原発などあり得ないことが明確になりました。同時に人類の未来を長い視野で展望し、核エネルギーの基礎研究としては続けるべきだという立場です。また廃炉や使用済み核燃料の問題など、原発から撤退する上でも平和利用の基礎的な研究は必要です。
 平和利用はありえないという立場の人とも、原発からの撤退という点で一致して共同していきたいと思います。(「週刊しんぶん京都民報」2011年7月24日付