「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格導入を」との提言を発表した日本共産党は、「原発ゼロ」に向けて原発縮小にただちに踏み出すことを主張。原発の新増設の計画を中止・撤回するとともに、危険が大きい原発の廃炉などをすみやかに決断、実行することを求め、その1つとして、「高速増殖炉『もんじゅ』を廃炉にし、プルトニウムを燃料とするプルサーマルを中止し、プルトニウム循環方式からただちに撤退する」ことを訴えています。
 福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」(日本原子力研究開発機構)の危険性を告発してきた、元京都大学原子炉実験所助手の小林圭二さんに「もんじゅ」と核燃料サイクルの危険性・問題点を語ってもらいました。

京都、関西を襲う核爆発の危険性

 ─「もんじゅ」にはどのような危険性があるのですか
小林圭二 小林 福島第1原発事故で莫大な放射性物質・「死の灰」が広範囲に撒き散らされ、多くの方が苦しんでおられます。ウランを燃料にする原発(軽水炉)が、不安定で危険なことが示されました。私は、若狭湾にある高速増殖炉「もんじゅ」は、軽水炉型の原発よりもさらに制御が難しく、危険であることを長年訴え、廃炉にするよう求めています。
 福島第1原発事故では燃料が溶け落ちるメルトダウンが起こり、水素爆発等で放射性物質を撒き散らしましたが、原子炉内にある放射性物質の9割以上は施設内に留まっていると言われています。もし、もんじゅで同様の事故が起こった場合、さらに大きな事故になる可能性が高いのです。高速増殖炉は、プルトニウムを燃料としながら、燃やした以上のプルトニウムを生み出すという構造上、暴走する可能性が高い。燃料が溶けて集まると核爆発を起こし、大量の放射性物質を撒き散らして、隣接県の京都はもちろん、関西、日本の広範囲にわたって放射能汚染を起こす危険性があります。
 それだけのリスクを持つ高速増殖炉は制御が非常に難しいのです。もんじゅは91年に完成してから何度も事故を起こし、運転できたのはわずかな期間で、1度も定格出力の28万キロワットを発電したことがありません。

高速増殖炉 プルトニウムを燃料として使用し、原理的には使用した以上のプルトニウムを生み出すもの。高速増殖炉の「高速」は、高速の中性子を利用することを意味します。中性子を減速させる水を冷却材に使うことはできず、「もんじゅ」では加熱して液体状にしたナトリウムを使用。ナトリウムは空気や水に触れると激しい化学反応を起こすため、高速増殖炉開発の技術的難問となっています。高速増殖炉は、実用炉(商業用原子炉)にいたるまでに実験炉、原型炉、実証炉の3つの段階を設けて開発を進めています。「もんじゅ」は原型炉。

「週刊しんぶん京都民報」2011年7月31日付