「国家百年の計」で原発問題考えるべき 安斎育郎氏
「九条の会・醍醐」は28日、伏見区醍醐のダイゴローで結成五周年記念のつどいを100人の参加者で開催しました。会場内正面には「せんそうあかん ぼくのいうこときいて」との横断幕と、両サイドには「輝け・憲法九条 『子どもや孫たちが銃を持つ姿を想像できますか』」などと訴えるポスターが掲げられました。
同会世話人代表の山下茂雄さんの開会の挨拶につづき、立命館大名誉教授の安斎育郎さんが「福島原発事故が教えること」と題して講演。福島原発で起こった人類史上初めての深刻な事故は想定外でなく学会や住民から東電に申し入れなどしていたとし、大事なことは、「隠すな、ウソつくな、わざと過小評価するな」ということだと指摘。そして「最悪に備えて、最前をつくせ」と真っ先に強く求めたいと述べました。
安斎さんは放射線の影響で確定的影響と確率的影響についてガン死亡率を例にわかりやすく説明し、東電や政府は「CTに比べれば少ない?」とか「レベル7」だが、チェルノブイリの1割程度?」などというのは根本的なごまかしに過ぎないと指摘。また、現地放射能測定や土壌採取に取り組んだ安斎さんは、「表層土を削り取れ」「放射能を洗い落とせ」学校や保育園の「窓側に遮蔽物を」と緊急対応を訴え続けていることを話しました。
さらに、安斎さん自身が受けてきた長年のアカデミック・ハラスメントの経験も赤裸々に話し、原発事故の背景にあった反憲法的な人権抑圧を指摘し、「原発の危機はいまだ続いている。何十年何百世代、何十万年も続く放射性廃棄物の管理を未来にゆだねるのか? 原発に代わるエネルギーをどうする? 原発をなくすにも、自然エネルギーに移行するのも『国家百年の計』が必要ではないか」と訴えました。
参加者からのいくつかの質問について、安斎さんは丁寧に応えてました。最後に「九条の会・醍醐」5年間のあゆみ、この間の取り組みや写真、会員のエッセーと会ニュース創刊号から最新9号までを掲載した中身が濃い『五周年記念冊子』が参加者に配布されました。
記念講演に先立ち、シンガーソングライターの阿部ひろ江さんが、「春のちかい」と「チェルノブイリ シンドローム」を熱唱しました。
「九条の会・醍醐」は発足から憲法、教育基本法学習、イラク戦争、被爆や戦争体験、裁判員制度、靖国問題、近代史学習シリーズなど多彩な分野の定例学習会を月一回取り組むとともに、早川一光さんの講演、「日本の夜明け」上映会、ピースコンサート、落語「笑いは平和とともに」、などの記念のつどいを年一回開催してきました。(仲野良典)