若狭原発群を視察、学習会に参加 乙訓革新懇
乙訓革新懇は8月27、28の両日、若狭原発群を視察し、地元住民から実情を聞きました。19人が参加しました。
原発問題住民運動全国連絡センター代表委員の山本雅彦さん、日本共産党敦賀市議の山本貴美子さんの案内で、日本原電の敦賀3、4号の新設予定地の準備工事現場を見学しました。山を切り崩し、海を埋め立てた広大な敷地が広がっています。建設費は3000~4000億円といわれています。日本原電広報センター職員に「新設の目的はなんですか」と質問。職員は少し口ごもって「電力を増やすことと改良した発電所をつくるため」と言い、「福島の事故があったのでどうなるか」と後ろめたそうに答えました。
若狭湾沿岸にはいま、原発が15基(1基は廃炉作業中の新型転換炉「ふげん」)あります。運転中は7基、定期検査中が6基、事故停止中が高速増殖炉「もんじゅ」です。来年3月には、運転中の原発がすべて定期検査に入り15基全部止まります。再稼働を許さない運動の大きなヤマ場になります。
1968年に原発が設置されて以来、事故や故障は321件(全国728件)、被ばく従事者は2009年度のみで18,604人。放射線が目に見えないだけに恐ろしい実態です。(参考資料は2009年度福井県発表)
28日は、小浜市の国宝明通寺住職の中島哲演さんと福井県の女性議員の会(超党派)の学習会にオブザーバーとして参加しました。学習会では多くの問題点が浮かび上がりました。
使用済み核燃料の中間貯蔵施設はいらない!小浜市民のたたかい
小浜市では2004年、2008年の市長選挙では中間貯蔵施設を受け入れるかどうかが大きな争点になりました。国から5年間で1300億円出すので受け入れてほしいと要請があったのです。小浜市民は受け入れ拒否の市長を2度ともえらびきっぱりと決着をつけました。
2011年6月には市議会が「脱原発」を求める意見書を全会一致で可決しました。
高浜町では関西電力による原発3,4号の増設をめぐって激しい町長選挙が行われました。増設反対の候補が3800対3400のわずか400票差で敗れましたが、後で関西電力と熊谷組の関係者600人が住民票を移すという卑劣なやり方が露見しました。
悪魔の王様「プルトニウム」と原発の被害
若狭にある原発が全部動くと1年でヒロシマ原爆の4000発分の放射能が出ます。長崎のプルトニウム原爆(プルトニウムの語源プルートは悪魔の王様)120発分です。
福島の原発4基400万キロワットからどれだけの放射線量が出ているかは、いまだにどこにも報道されていません。大地震は阪神淡路大震災を起点に40年続くといわれています。
専門家によると、今度大地震が発生した場合、41万人が死亡、2週間以内に1万7000人の犠牲者が出ること、復旧・復興に50年間で460兆円、毎年10兆円近くかかると試算されています。
電力会社の巻き返し、関西の支援を
敦賀市では、市予算の13%を、原発立地に絡む国の交付金や電力会社の寄付などが占めています。2003年度から、それまでの建物から公立病院や公民館、保育所などの人件費、乳幼児の医療費まで、こうした交付金や寄付金などが使われています。このような原発依存の経済を、自立した自治体財政に変えていかなければ脱原発は実現できません。電力会社は福島の事故から強力な巻き返しをすすめており、現地での反原発の運動にもっと力を入れていくことが強調されました。そして、京都や関西などでの脱原発の運動、関西電力に対する抗議・要請行動を強めてほしい、と強い要望が出されました。(梅林照夫)