(21)団体交渉って?
労働組合を通じて交渉するのが一番
ご相談は、法的に大きく3つ問題があります。
【1】労働基準法では、使用者(会社)は1日8時間以上労働者を働かせることが原則禁止されます。法定時間を超える残業は、(1)同法36条に基づく残業協定締結と、(2)労基署への届出、(3)25%以上の割増賃金支払いが必要です。
【2】「サービス残業」は、?だけでなく、実際の残業時間分の賃金が未払いですので、少なくとも2年前までは遡って支払い請求できます。
【3】労働契約法第16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定しています。
労働者が体調を壊したのは、人員や業務を適切に管理するべき会社の健康配慮義務違反です。自らの義務を果たさず、逆に、労働者をクビにするのは、濫用的解雇と言うしかありません。
個人で会社と対決することも可能です。しかし、実際には、法的知識、時間的・精神的・経済的負担を考えると、個人で会社と話し合ったり対抗するのは簡単ではありません。信頼できる労働組合があれば、迷わず援助を受けることを勧めます。組合を通じて交渉すれば、多くのメリットがあります。
一人では会社の担当者と対抗することは至難ですが、経験のある組合役員や組合顧問弁護士の援助も受ければ会社と対等に話し合えます。また、労働基準監督署、労働局、裁判所などの公的機関もより有効に活用できます。とくに、労働組合は、駆込み加入した組合員の事案でも、組合の問題として会社に団体交渉を求めることができます。会社側が正当な理由なく拒否すれば不当労働行為(労働組合法第7条違反)として労働委員会に申し立て、団体交渉に応ずるように救済命令を出してもらうことも可能です。
このように労働組合は法的に多くの権利や利点を持っていますので、労働組合を通じて会社と交渉することが、現在では本来の解決に一番近い結果を得られる方法です。(「週刊しんぶん京都民報」2008年9月14日付)