(31)1カ月残し解雇通告
現在と同条件の雇用継続要求を
請負会社に実体がない場合は「偽装請負」の違法派遣となり、5年働いているとのことですので、受入企業(工場側)に直接雇用を求めることが考えられます(2009年1月25日付の回答参照)。ただ、今回は、請負会社に実体があって偽装請負と言えない場合だ、と仮定して、請負会社の雇用責任を考えてみます。
まず、請負会社も派遣会社も、「雇用主」として労働基準法、労働契約法、民法による使用者責任を負います。仕事を保障できないときには、自らの責任として休業手当(労働基準法二六条)や反対給付としての賃金を支払う義務(民法536条2項)を負います。
ご相談のように、契約期間が1カ月残っているのに解雇することは許されません。期間を定めた労働契約は、期間途中、当事者から一方的に解約することは原則としてできないからです。民法628条は、「やむを得ない事由」があるとき、労使各当事者は中途解約できるとしていますが、この「やむを得ない事由」は例外中の例外です。とくに、使用者側からの中途解約は、厳しく限定される解雇事由よりも、さらに限られた場合です。したがって、理由も不明確な突然の中途解約を受け入れる必要はありません。残り期間の雇用継続を求めることはもちろん、会社が雇用を保障できない場合、賃金相当額や損害賠償の請求が可能です。
次に、期間を定めた契約であっても、更新を繰り返して五年も雇用が継続していますので、特別な事情がなければ、契約の継続・更新が前提になっていると考えられます。その場合、一方的な更新拒絶は解雇と同様な理由が必要です。請負会社であっても、理由なしに解雇したり、雇い止めをして雇用継続の責任を逃れることはできません。解雇には客観的に合理的で社会通念上相当な理由が必要です(労働契約法16条)。現在の条件と違わない条件(勤務地や職種)での雇用継続を要求できます。できれば相談に応じてくれる地域労組などを見つけて団体交渉による解決を目指して下さい。(「週刊しんぶん京都民報」2009年2月8日付)