(39)PC業務は「特殊」?
複合業務の割合で期間制限受ける
まず、契約関連文書で自分の置かれている状況を正確に確認して下さい。(1)派遣会社(派遣元)との労働契約書、(2)就業規則、(3)就業条件明示書、(4)派遣会社の労働者派遣事業の許可・届出受理番号などを調べて下さい。
表向きが派遣でも実際は業務委託や請負を偽装している場合、(3)、(4)が明確でないはずです。偽装委託や偽装請負であれば、派遣元・派遣先、派遣元・労働者の関係が職業安定法44条や労働者派遣法に違反して、無効と考えられ、実際に労働者を働かせている派遣先への直接雇用を求めることが可能となります(松下PDP事件・大阪高裁判決)。
次に、一応、適法な労働者派遣で就労していると考えられる場合、担当業務が重要です。「システム開発」であれば、派遣法施行令(政令)4条が26の業務を規定しています。その1号に「電子計算機を使用することにより機能するシステムの設計若しくは保守又はプログラムの設計、作成若しくは保守の業務」があります。実際の業務がこれに合致していれば、26の政令指定業務ですので、原則として派遣受入期間の制限がありません。
しかし、システム開発以外の業務も担当している場合(複合業務)は、期間制限を逃れる目的での「業務偽装」の可能性があります。厚生労働省は、複合業務の場合、26業務以外の業務を担当する割合が、労働時間で1割を上回る場合には、派遣受入期間の制限を受けるとしています。
なお、26業務以外の派遣受入期間の制限は原則1年です。ただ、特別な事情があって派遣先の過半数労働者代表の意見を聴いた場合に限って、3年が上限となります。業務偽装の場合、この1年から3年の受入期間制限に反しますので、派遣先に直接雇用を求めることが可能です。
偽装請負または業務偽装でない場合、政令26業務には派遣受入期間の制限がないので、派遣先との話し合いなどで正社員雇用を求めるしかありません。
なお、派遣先がその業務で新たに正社員を採用する場合、3年以上就労している派遣労働者を優先して雇用する義務があります。(「週刊しんぶん京都民報」2009年5月31日付)